ルナクルーザー

ルナクルーザー（LUNAR CRUISER）

ルナクルーザーは、日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）とトヨタ自動車が共同で開発している、有人月面探査用のローバーです。このプロジェクトの目的は、月面環境での探査活動を安全かつ効率的に行うことです。特に、燃料電池車（FCV）技術を活用し、長距離移動が可能な月面車両の実現を目指しています。

開発の背景と経緯

ルナクルーザーの開発は2015年頃からJAXAが独自に進めており、2018年にトヨタとの共同研究が開始されました。この連携は、互いの技術と専門知識を融合させ、より高性能な月面用ローバーの開発を目指しています。具体的には、2019年3月に計画が公表され、6月には共同研究協定が締結されました。

同年7月にはトヨタが「月面探査車開発室」を設立し、さらに8月にはJAXA、トヨタ、三菱重工業の3者が主導する「チームジャパン勉強会」が発足しました。この勉強会では、月面での生活や探査の可能性について研究が進められています。2029年には実際に月面へ投入される予定です。

愛称の由来

ルナクルーザーという名称は、トヨタの人気SUV「ランドクルーザー」の精神を受け継いでいます。「どこへでも行き、必ず生きて帰る」という思いが込められており、移動の安全性を追求しています。また、ルナクルーザーのデザインにはランドクルーザーのFJ40系を意識した意匠が取り入れられており、一目でそのルーツを感じさせます。

ルナクルーザーのスペック

ルナクルーザーは、以下のような特徴を持っています：

• - 燃料電池自動車（FCV）をベースにしており、環境に優しい走行が可能。
• - 六輪駆動の構造を採用しており、前輪には2対、後輪には1対の駆動輪が配置されています。
• - 全長6.0 m × 全幅5.2 m × 全高3.8 mで、マイクロバス2台分のサイズです。
• - 居住空間は13 m³で、4畳半程度の広さを確保。最大で2名（緊急時には4名）まで搭乗可能です。
• - 酸素と水素を満充填すれば、1,000 kmの走行が可能で、月面では10,000 kmの走行が見込まれています。
• - 月面の厳しい環境下での安全かつ信頼性の高い移動性能を備えており、自動運転機能も搭載しています。

その他の展開

2024年3月、玩具メーカーのタカラトミーはルナクルーザーをモチーフにした変形ロボット「トランスフォーマー『ルナクルーザープライム』」を発売しました。この商品は、ルナクルーザーとロボットの2つの形態に変形可能で、税込み11,000円で販売されています。

まとめ

ルナクルーザーは、私たちの未来の月面探査に向けた革新的なステップを象徴する存在です。このプロジェクトは、国際的な共同研究の一例であり、人類の新しいフロンティアへの挑戦を支えています。月面探査の可能性を広げるこのローバーに期待が高まる中、私たちの科学と技術がどのように発展していくのか、今後も注目が集まります。

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