ルパン8世

『ルパン8世』は、モンキー・パンチ原作の漫画『ルパン三世』を原案とした、1982年頃制作された幻のアニメ作品です。日本とフランスの合作で制作され、子供向けをターゲットにした、ルパン三世の五代後の子孫であるルパン8世の活躍を描いています。

舞台は22世紀。人類は宇宙旅行を日常的に行う時代を迎えています。作中、ルパン8世は、日本国外での放送を想定し、従来の泥棒という設定から、探偵という職業に変更されました。そのため、物語の中心は宇宙を舞台とした冒険となっています。

アニメは全6話、もしくは8話の制作が予定されていましたが、諸事情により制作は途中で中止され、完成したエピソードもフランスでの放送は叶いませんでした。日本国内での放送も、当初は1983年の放送が予定されていましたが実現せず、長らく日の目を見ることはありませんでした。しかし、いくつかのアニメ雑誌では紹介記事が掲載されており、その存在は一部のファンに知られていました。

アニメ雑誌での紹介や、製作に関わったスタッフの存在などから、その存在は知られていましたが、長らく未公開作品として扱われていました。しかし、2012年3月28日に発売されたビデオソフト『ルパン三世Master File』に、パイロット版全編と現存する5話のダイジェストが収録され、ようやくその一部が公開されることとなりました。ただし、日本語音声は存在せず、字幕による表示となっています。パイロット版のみ、音楽と効果音が追加されています。

『ルパン8世』はアニメ作品だけでなく、漫画版も存在します。モンキー・パンチが原作、おりはるこん（斉藤栄一と滝川健市の共同ペンネーム）が作画を担当し、双葉社の『月刊100てんコミック』に連載されました。全10話構成で、単行本も刊行されましたが、第6話まで収録された第1巻のみで打ち切られました。そのため、単行本未収録の話が存在します。

登場人物は、ルパン三世シリーズでお馴染みの面々の子孫たちが登場します。ルパン8世は、先祖同様の怪盗としての顔と、表向きの探偵としての顔を持つ二面性を持っています。相棒である次元大介の子孫も、先祖同様の腕利きのガンマンですが、当時のフランスの子供番組の規制により、喫煙シーンはなく、常に棒付きキャンディを口にくわえているのが特徴です。峰不二子の子孫も、モデルとして活躍する一方で、ルパン8世を利用して、お宝を狙うという、先祖譲りの狡猾さを持ち合わせています。石川五右ェ門の子孫は、時代劇的な和服姿で、レーザーブレードを使用した居合の達人として活躍。銭形警部の子孫は、宇宙連邦の刑事として、ルパン8世の動向を監視しています。さらに、ルパン8世の師匠であるホームズ8世の子孫も登場します。

『ルパン8世』は、様々な事情により未完に終わった幻の作品ですが、その存在は、ルパン三世シリーズを愛するファンにとって、興味深い存在であり続けています。日仏合作という珍しい経緯や、未放送作品ながら複数のアニメ雑誌で紹介されたことなど、その歴史は、アニメ史における特異な事例として、記憶にとどめるべきと言えるでしょう。

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