ルビーレッド

ルビーレッドは、その名の通り、宝石のルビーを連想させる鮮やかな赤紫色を指します。この色は、単なる赤色ではなく、紫がかった深みのある赤色が特徴です。日本では「紅玉」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。

JIS（日本産業規格）の慣用色名では、「あざやかな紫みの赤」と定義されており、略号では「vv-pR」と表記されます。これは、色の鮮やかさを示す「very vivid」と、紫みのある赤色「purple red」を表しており、ルビーレッドが持つ鮮烈な色合いを正確に表現しています。

英語の色名として初めて採用されたのは1572年とされており、比較的歴史のある色名と言えます。ルビー自体は、ラテン語で「赤」を意味する「rubeus」に由来しており、ルビーレッドという名称は、その語源からも色の特徴を直接的に表していることがわかります。興味深いことに、同じコランダムという鉱物でも、赤色以外のものはサファイアに分類されるため、ルビーレッドは、ルビーという宝石の色を指す名称として、意味の重複があるとも言えます。

ルビーの鮮やかな赤色は、微量のクロムが含まれることによって生じます。特に、ミャンマー産のルビーは、鮮やかな紫みを帯びた紅色のものが多く、その中でも最高等級のものは「ピジョン・ブラッド」（鳩の血）と呼ばれ、非常に高い価値を持ちます。これは、鳩の血のような深く鮮烈な赤色を意味しており、ルビーの中でも特別な存在です。一方、タイ産のルビーは、やや黒っぽい色合いになる傾向があり、「ビーフ・ブラッド」（牛の血）と呼ばれることもあります。これは、タイ産のルビーが持つ、より暗く深みのある赤色を表現しています。

このように、ルビーレッドは、ルビーという宝石そのものの美しさを表現する色名であり、その鮮やかさや深みは、産地や鉱物組成によって微妙に異なります。色名としてだけでなく、鉱物や宝石の背景にある物語や文化的側面を理解することで、より深くルビーレッドの魅力を感じることができるでしょう。


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