ロックーン

ロックーンの概要

ロックーン（Rockoon）とは、気球を利用してロケットを空中から発射する技術を指します。その名は、"rocket"と"balloon"から派生した言葉であり、主に観測ロケットや技術試験として用いられています。この方式は、1949年にリー・ルイス中佐と他の科学者たちによって考案され、1952年から実験が開始されました。

発想の背景

当時、多くの観測ロケットは液体燃料を使用しており、そのための取り扱いやコストの問題がありました。そのため、固体燃料ロケットの使用が検討されるようになりました。固体燃料は、点火後の加速が優れているため、大規模な発射装置を必要とせず、また簡単に扱えるという利点がありました。しかし、低高度での空気抵抗が大きいという欠点も抱えていました。そこで、ロックーンは気球を用いることでこの欠点を克服し、高い性能を発揮する方法として考案されました。

ロックーンの動作原理

ロックーンは、まず気球が低高度まで上昇し、ある高度に達した時点でロケットを発射します。これにより、発射時の空気抵抗を回避し、固体燃料ロケットの性能を十分に導き出すことが可能になるのです。この方式により、ロケットはより小型化され、初期のロックーンは大型のペイロードを運ぶことはできませんでしたが、その後の技術的な進展が期待されました。

実験と成果

ロックーンの実験は、1952年にアイオワ大学のグループにより始まります。最初の成功した打ち上げは1953年で、高度100kmを越える飛行を確立し、後にヴァン・アレン帯を発見する基礎となる観測データを提供しました。

日本におけるロックーンの発展

日本では、1956年から1959年まで東京大学のロクーン委員会が国際地球観測年（IGY）の一部として、高層物理観測のための実験を行いました。しかし、当初計画していた高度には達成できず、プロジェクトは後に他の研究所に引き継がれました。その後、1961年にはΣ-4-2による100km越えの打ち上げが実現しましたが、経済的理由からさらなる開発は停止されました。
また、1988年と1992年には有翼飛翔体HIMESの再突入実験の手段としてもロックーンが利用されています。さらに最近では、民間企業が新たなプロジェクトを立ち上げ、2028年には高度20kmでの実用化を目指しています。

海外におけるロックーン

アメリカでは様々なロックーンが開発され、特にJP Aerospaceの"The Stack"システムによる発射方法が注目されています。カナダやイギリスでも独自のロックーンが開発されており、国際的にもその技術が広まっています。

航空法との関係

日本においては、航空法に基づきロックーンの打ち上げに際しては、事前に国土交通大臣への届出が必要な場合があります。これは安全面を考慮した規制であり、打ち上げる地域によってその規制内容が異なるため、注意が必要です。

まとめ

ロックーンは、気球を使った革新的なロケット発射方式として、観測技術や宇宙開発の進展に寄与してきました。今後も、この技術がどのように発展するのか注目されるところです。政府や民間企業の協力によって、日本国内でもさらなる研究が期待されています。

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