ヴァーリン

ヴァーリンの物語

ヴァーリン（Vālin）は、インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場するヴァナラ、すなわち猿の王です。彼の名前はヴァリやバリとも呼ばれ、神々の中のインドラ神から生まれた存在です。ヴァーリンは、猿王リクシャラージャの子として、兄弟スグリーヴァと共に生活していました。彼は、スシェーナの娘ターラーを妻に持ち、アンガダという息子ももうけました。

性格と統治

ヴァーリンの性格は短気で怒りっぽく、疑り深いところがありました。このような性格は、彼の行動や言動にも影響を与え、粗野さを伴う態度が目立ちました。彼は猿族の都、キシュキンダーを統治し、ラークシャサの王ラーヴァナとの同盟を結びますが、性格ゆえに多くの争いを引き起こすことになります。

呪いの由来

ある日、ヴァーリンはアスラのドゥンドゥビと対立し、両者の闘争が始まりました。最終的にヴァーリンは勝利し、その死体を遠くに投げ捨てましたが、その血液が聖仙マータンガの庵を汚してしまいます。これに怒ったマータンガは、ヨガの力を使ってヴァーリンを呪いました。呪いの内容は、リシュヤムーカの地に踏み込むと必ず死ぬというものでした。

兄弟の対立

その後、ヴァーリンはドゥンドゥビの子、マーヤーヴィンと、女性を巡って争うことになります。マーヤーヴィンはキシュキンダーに現れ、ヴァーリンに挑戦しますが、戦わずして逃げ去ります。ヴァーリンとスグリーヴァは、彼を追いかけてマーヤーヴィンの逃げた洞窟に辿り着きます。ヴァーリンはスグリーヴァに見張りをさせ、一人で洞窟へ入りました。

しかし、洞窟は複雑で、ヴァーリンは敵を探しているうちに1年が経過しました。ようやくアスラを倒し、出口を見つけた際、スグリーヴァが彼を死んだと思い洞窟の入口を塞いでしまったのです。その結果、スグリーヴァは重臣たちによって王に選ばれ、ヴァーリンが戻った時は、彼が王として君臨していることに激怒します。疑念が生まれたヴァーリンは、スグリーヴァを追放し、妻ルーマーを奪いました。

運命の結末

後に、スグリーヴァはラーマ王子の助けを得てヴァーリンに挑戦します。確かにヴァーリンはスグリーヴァを打ったものの、背後に潜んでいたラーマの矢に命を奪われる結果になります。彼がこの世を去る際、彼はすべての疑念から解放され、平和の中で息絶えました。ヴァーリンの物語は、彼の性格や選択がもたらす悲劇を描き出しています。

関連項目

• - ヴァナラ: 猿の種族。
• - アンガダ: ヴァーリンの息子。
• - インドラ: ヴァーリンを生んだ神。

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