三大仙

三大仙の物語

三大仙（さんたいせん）は、中国の古典小説『西遊記』の中で描かれる妖仙たちであり、虎力大仙（こりきたいせん）、鹿力大仙（ろくりきたいせん）、羊力大仙（ようりきたいせん）の3人から構成されています。彼らは強大な魔力を持ち、神々を操って天候を変える「五雷法」の技を使うことで知られています。しかし、普段はその正体を隠して仙人として人々の前に現れます。

車遅国の国師

物語の舞台となる車遅国（しゃちこく）は、かつて水不足に苦しんでいました。この危機を救ったのが三大仙でした。彼らは「五雷法」の術を駆使して、雨を降らせることで国の人々から感謝され、国王から絶大な信頼を得ることになります。その結果、三大仙は国の国師として迎え入れられ、国王は道士（道教の僧侶）たちを優遇し、仏教徒に対しては迫害を行うようになります。

三蔵一行との出会い

三蔵法師をはじめとする一行が車遅国を訪れると、彼らは多くの僧侶が奴隷のように働かされている光景を目にします。僧侶たちは、夢の中で太白金星から示された「孫行者が自分たちを救いに来る」という予言を三蔵に伝えました。この話を聞いた孫悟空は大いに喜び、仲間の猪八戒や沙悟浄と共に三大仙のもとへ忍び込みます。

そこで彼らは三大仙を欺き、彼らの小便を飲ませることで恥をかかせます。三大仙は恥辱を感じ、三蔵を食べるための術比べを挑みますが、最後には悟空によって次々と倒されます。死後、彼らの姿は元々の動物の姿に戻ります。

各大仙の運命

虎力大仙

虎力大仙は、黄毛虎の精として知られています。彼は三蔵との雨乞いの術比べに挑みましたが、孫悟空の介入により敗北します。再戦に臨み、首を斬られて生き返る術勝負まで挑みましたが、悟空の策略によって最終的に命を落とします。

鹿力大仙

鹿力大仙は、白毛鹿の精です。彼もまた、虎力大仙と共に術比べを繰り広げましたが、孫悟空に阻止されます。自らの内臓を抜き取る術を試みるも、悟空によって失敗に終わり、命を落としました。

羊力大仙

羊力大仙は、羚羊の精であり、最後の戦いを繰り広げます。彼は油で入浴する術勝負を挑みますが、授けられた魔法を悟空が見破り、敗北します。最終的には、煮えたぎる油で自らが羊の油揚げになってしまいます。

結末と教訓

こうして三大仙はそれぞれ異なる形で命を落とし、その姿は元の動物に戻ります。彼らの物語は、魔法や策略の中での人間の知恵と力、また道徳的な教訓を含んでいます。三大仙の伝説は、今なお多くの人々に語り継がれ、その存在は中国文学の重要な一部となっています。

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