猪八戒

猪八戒について

猪八戒（ちょ はっかい）は、中国の四大奇書の一つ『西遊記』に登場する主要なキャラクターです。原作では妖仙として描かれ、台湾などでは神格化され、豬哥神として崇拝されています。彼は「猪」という名の通り、豚の姿をしたキャラクターで、その性格はユーモラスで楽天的ですが、好色で怠け者でもあります。彼の物語は、さまざまな妖怪との戦いや、仲間との冒険を通じて展開されます。

出自と経歴

猪八戒は、元は天界の将軍・天蓬元帥として、天の川を管理し水軍を指揮していました。しかし、女癖が悪く、嫦娥に無理に言い寄った結果、天界で罰を受けます。2000回も鎚で打たれる罰を受けると、その後天界を追放され、地上に落とされることになります。

地上に降りた彼は、人間として再生しようとしましたが、雌豚の胎内に取り込まれ、黒豚の妖怪として生まれてしまいました。群れの豚を次々に食べて福陵山で妖怪となる中、武芸をたしなむ女妖怪・卯二姐に見初められ、結婚します。しかし幸せは長続きせず、妻とは短期間で死別、再び人を食らうようになってしまいます。

菩薩との出会い

ある日、猪八戒は経典を求める取経者の一行と出会います。最初は攻撃的でしたが、観音菩薩と知ると慈悲を乞い、猪悟能という名を与えられ、取経者の弟子になるように言われます。彼は改心し、徐々に人食いを止めます。特に精進料理を守る決心をし、無駄に食を多く取ることはなくなるものの、待つ間につい人里におりてしまいます。

その後、彼は猪剛鬣と名乗り、商人の家に嫁入りしますが、最終的には孫悟空と対戦することになります。彼は菩薩が告げた取経者の一行だと知り、降参し、仲間になることを選びます。この時、三蔵法師から与えられた「猪八戒」という名には、新たな人生がかけられています。

性格と能力

猪八戒はその姿からもイメージされるように、豚に近い特性を持っています。彼は太鼓腹に長い鼻を持ちながら、怪力と食欲を誇ります。性格は楽観的で、欲が深く、怠ける一面も抱えています。武器としては「釘鈀」を持っており、非常に重量のある武器ですが、普段はあまり使われず、本気で使うと火を噴くほどの力を持っています。

また、猪八戒は雲に乗って空を飛ぶこともできるため、仲間たちと共に数々の冒険に挑戦しました。物語の中ではコミカルな役回りが多く、しばしば孫悟空にからかわれながらも、その性格で人気を博しています。

日本における受容

日本でも猪八戒の存在が知られるようになったのは、弓館小鰐による『西遊記』の翻訳がきっかけです。それ以前はイノシシとして誤訳されていましたが、正確には豚として理解されていきました。また、猪八戒は道化役として、時に愚かな行動を取ることがありますが、そのキャラ設定が物語のユーモアにつながっています。

結論

猪八戒は、中国の文化において非常に親しまれているキャラクターであり、その象徴的なキャラクター像は多く語り継がれています。彼の物語は、欲望や失敗を抱えながらも、仲間や成長を通じて生きる姿を描いており、多くの人に愛されています。

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