中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館

中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館：歴史と芸術の融合

北海道旭川市に位置する中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館は、歴史と芸術が融合した独特の魅力を持つ美術館です。その歴史は、明治時代に遡ります。

建物の歴史：旧旭川偕行社から美術館へ

現在の美術館建物は、1902年（明治35年）に陸軍第7師団の将校集会所「旭川偕行社」として建設されました。木造二階建ての洋風建築で、当時としては珍しい先進的なデザインが特徴です。皇太子時代の昭和天皇も訪れたという歴史を持つ由緒ある建物です。

終戦後はアメリカ軍将校クラブとして使用された時期もありましたが、1949年（昭和24年）に旭川市に移管され、旭川市立旭川郷土博物館として活用されました。1989年（平成元年）には国の重要文化財に指定され、その歴史的価値が認められました。

1993年（平成5年）、郷土博物館が新築移転したことを受け、この歴史的建造物を活用し、旭川市にゆかりのある彫刻家・中原悌二郎を記念した美術館として生まれ変わりました。1994年（平成6年）6月に開館した中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館は、現在に至るまで多くの人々に愛されています。幾度かの改修工事を経て、2017年（平成29年）にリニューアルオープンしました。

美術館の展示と活動

美術館は、中原悌二郎の作品を中心に、多くの彫刻作品を収蔵・展示しています。中原悌二郎の代表作「若きカフカス人」をはじめ、力強い表現力を持つ作品の数々が来館者を迎えます。

また、1970年（昭和45年）に創設された「中原悌二郎賞」の受賞作品も常設展示されています。この賞は、旭川市が優れた彫刻作品に贈る賞として知られ、選考委員の刷新や開催地の旭川市への移転を経て、現在も隔年開催されています。

美術館では、常設展に加え、企画展や彫刻教室、写真展など、多様なイベントを開催しています。子ども向けの彫刻教室も実施されており、世代を超えて彫刻の魅力に触れる機会を提供しています。これらの活動は「彫刻のまち旭川」を象徴する取り組みとして展開されています。

地域貢献の取り組みとして、ボランティア団体「旭川彫刻サポート隊」による彫刻清掃活動や、「みゅうず」による喫茶店・ミュージアムショップの運営があります。ボランティアの皆さんの熱意が、美術館を支えていると言えるでしょう。

アクセスと周辺情報

美術館は旭川駅から旭川電気軌道バスでアクセス可能です。春光園前バス停下車徒歩約2分です。隣接する井上靖記念館との共通券もあり、両施設を効率よく見学できます。旭橋や平和通買物公園など、旭川八景の一つにも数えられています。

まとめ

中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館は、歴史的建造物と現代美術が調和した、貴重な文化施設です。彫刻作品を鑑賞するだけでなく、建物の歴史や地域活動に触れることで、旭川の文化を深く理解できる場所となっています。 旭川を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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