中坊徹次

中坊 徹次 - 魚類学者の軌跡

中坊 徹次（なかぼう てつじ、1949年11月8日生まれ）は、日本を代表する魚類学者であり、京都大学の名誉教授です。京都府に生まれた彼は、1973年に京都大学農学部水産学科を卒業し、1981年に「A revision and systematics of the dragonets (Pisces: Callionymidae)」という研究で農学博士の学位を取得しました。

彼の学問の道は、特に魚類の系統分類学に特化しており、学名の再検討や新種の記載と命名を含む基本的な研究を行っています。中坊氏は、京都大学の農学部水産学科で助教授を務めた後、1997年から京都大学総合博物館で教授職に就き、さらに大学院農学研究科の教授も兼任しました。彼の専門領域では、系統分析を通じて魚類の分類体系の解明に寄与しています。

彼が特に有名なのは、絶滅したと考えられていたクニマスを西湖で再発見したことです。この発見は、さかなクンが自らイラストの制作にあたり、ヒメマスを取り寄せたことがきっかけとなりました。その中にあったクニマスに似た特徴を持つ個体について、中坊氏が詳細な研究を行った結果、この魚がクニマスであることが判明しました。この偉業は、自然科学界で大きな話題となり、明仁天皇によって誕生日の会見で言及されたことでも知られています。

主な著書

中坊氏は自身の研究成果を反映させた数多くの著書を出版しており、その中には以下のものがあります。

• - 単著『絶滅魚クニマスの発見 私たちは「この種」から何を学ぶか』は、2021年に新潮社から出版され、絶滅種の再発見についての考察がなされています。
• - 共著による著作には『東シナ海・黄海の魚類誌』や『日本産魚類全種の学名 語源と解説』などがあり、これらは魚類学の貴重なリソースとして広く活用されています。

研究業績

彼の研究は極めて多岐にわたり、主な論文には「沖縄より得られた日本初記録のタンザクテグリ」や「九州-パラオ海嶺より得られたイナカヌメリ科の1新種」などがあります。これらは日本魚類学会の誌に掲載されており、魚類の新種発見や分類学的再検討に貢献しています。

教育者としての役割

中坊氏は教員としても高く評価されており、数多くの後進を指導し、魚類学の新たな世代を育成してきました。その影響力は、学問の枠を越えて一般の人々にも及び、彼の著作や研究は多くの人に親しまれています。

彼の業績は、魚類学の分野だけでなく、自然環境の保護や生物多様性の維持に寄与しており、学術界での存在は今後も大いに讃えられることでしょう。

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