丹波市立植野記念美術館

丹波市立植野記念美術館：丹波地方の文化を彩る至宝の殿堂

兵庫県丹波市、加古川を見渡せる高台に位置する丹波市立植野記念美術館は、地域を代表する美術館として、その存在感を示しています。1994年、氷上町立植野記念美術館として開館し、後の丹波市への合併を経て、現在に至ります。

この美術館の設立は、実業家であった植野藤次郎氏のコレクション寄贈という、地域文化への大きな貢献から始まりました。財団法人植野アジア芸術文化振興財団の支援も受け、総花崗岩積の堂々たる建物が建設されました。ギリシャ神殿のイオニア式を基調としたデザインは、高さ9.5メートル、重さ12トンにも及ぶ6本の石柱が正面玄関に配され、威風堂々とした風格を醸し出しています。

貴重なコレクション：多様な芸術世界への誘い

美術館が誇る収蔵品は、その多様性と質の高さが大きな特徴です。

まず目を引くのは、パプア・ニューギニア民族美術品のコレクションでしょう。1978年と1979年の大阪大学を中心とする探検隊が持ち帰った貴重な品々からは、異国の文化と歴史が息づいています。

また、中国絵画、特に呉作人をはじめとする現代作家の作品は、東洋の奥深い美意識を伝えてくれます。中国陶磁器や陶板も充実しており、中国美術の粋を堪能することができます。

これらに加え、コンテンポラリーアートや、丹波市ゆかりの作家（川端謹次、常岡幹彦、安田虚心、丹阿弥丹波子など）の作品も展示され、幅広い鑑賞者の興味を引く、多様な芸術世界が展開されています。

美術館施設：充実した設備と空間

地上4階、塔屋1階建ての建物は、SRC造と石造の堅牢な構造が特徴です。延床面積は1,827平方メートル。各階には展示室の他、多目的に使える空間も用意されています。

4階と3階には展示室が配置され、様々な美術作品を鑑賞できます。2階には、4階まで吹き抜けのエントランスホールがあり、コンサートやワークショップなどのイベントにも活用されています。また、喫茶室やミュージアムショップ、研修室、テラスなども備え、来館者の快適性を考慮した設計となっています。1階には資料室が設けられ、研究や学習の場として利用可能です。

アクセスと周辺情報

JR福知山線石生駅または柏原駅から、ウイング神姫バス「植野記念美術館前」バス停下車すぐとアクセスも良好です。周辺には、兵庫県立丹波年輪の里など、観光スポットも点在しており、一日を通して丹波地域の文化に触れることができます。

丹波市立植野記念美術館は、単なる美術館としてだけでなく、地域文化の拠点、そして芸術を通じた交流の場として、その役割を担っています。貴重なコレクションと洗練された施設で、豊かな芸術体験を提供する、丹波地方を代表する美術館です。

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