九二式重装甲車

九二式重装甲車について

九二式重装甲車（きゅうにしきじゅうそうこうしゃ）は、1932年に日本で正式に採用された装甲車であり、その実態としては小型戦車である豆戦車に分類されます。この車両は騎兵部隊で主に使用され、九五式軽[[戦車]]の先駆的存在となりました。

歴史的背景

九二式重装甲車の開発の背景には、第一次世界大戦での戦車の活躍がありました。日本陸軍は戦車の重要性を認識し、1918年には英国の戦車を輸入、その後、フランスのルノー FT-17やMk. A ホイペットを導入し、戦車隊を結成しました。戦車の運用に伴い、従来の騎兵部隊の重要性が減少し、騎兵の機械化が急務となりました。そのため、1890年代から1920年代にかけて、自国の装甲車両の開発が進められました。

開発の経緯

1929年、日本陸軍技術本部は国産装軌式装甲車の開発に着手しました。1931年には試作車が完成し、1932年3月に「九二式重装甲車」として正式に採用されました。この名称は、編成上騎兵装甲自動車隊用として発足したため付けられました。

設計は軽量化を考慮し、当時としては珍しい溶接構造が採用されましたが、実際の装甲の厚さは6mmと限られており、衝撃に対する耐性に問題がありました。搭載された武器には国産化された九二式車載十三粍[[機関砲]]がありましたが、火力に関しては不十分な部分もありました。

性能と特徴

九二式重装甲車は、エンジンにフランクリン空冷直列6気筒エンジンを搭載し、40km/hの最高速度を誇る一方で、高速機動が可能でしたが、装甲厚は必ずしも優れておらず、軽口径の銃火でも貫通されることがありました。

特に、発射速度が不足しており、防弾性能に乏しかったため、戦場において危険が伴うこともありました。このような課題にもかかわらず、機動力を生かした戦闘が可能であったため、運用面では一定の効果を上げました。

生産と実戦使用

本車の生産は1933年から1939年まで行われ、全体で167輌が製造されました。製品のばらつきが目立っていましたが、コストは他の戦車に比べて安価であったため、軍の装備の一部として重要でした。在庫は主に関東軍や朝鮮軍で使用され、特に1932年の馬占山討伐戦や1933年の熱河作戦などに参加しました。

これらの作戦での実績は本車の評価を高め、その後の機甲部隊設立へとつながりました。1934年には日本軍初の本格的な機甲部隊が編成され、九二式重装甲車はその中に含まれることになりました。

結論

九二式重装甲車は、日本陸軍の騎兵部隊や戦車隊において重要な役割を果たし、機動性の向上に寄与しましたが、火力と防御に欠ける点から、実際には運用の制約も多かったです。それでも、歴史の中で一時的に機甲戦力の重要性を示した時期もありました。

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