交番相談員

交番相談員（こうばんそうだんいん）について

概要

交番相談員は、日本の都道府県警察に勤務する再雇用の職員で、主に60歳から65歳の警察官OBが担当しています。彼らは、国家公安委員会の「地域警察運営規則」に基づいて、地域の交番で重要な役割を果たしています。交番相談員は警察職員でありながら、非常勤職員として、地域の安全と住民の安心を支える大切な存在です。

来歴

交番相談員の制度は、昭和後期から始まりました。この時期、日本では警察官の人手不足が深刻化し、24時間体制での交番の維持が困難になっていました。その結果、交番が無人となる「空き交番」という問題が発生しました。特に、1985年に起きた平野さん事件のように、犯罪の被害に遭う市民が増加したことで、この事態は特に深刻視されるようになりました。これを受けて、1987年に北海道警察で交番相談員制度が導入され、以降、全国的に広がりました。

現在では、日本全国で約6,300人の交番相談員が配置されています。時折、交番相談員が犯罪に巻き込まれる事件も発生しており、それを受けて、各府県警察は制服の見直しや勤務形態の変更を進めています。

業務内容

交番相談員の主な職務には、地域住民の意見や要望の聴取、拾得物および遺失届の受理、被害届の代書、事件や事故発生時の警察官への連絡、地理案内などがあります。交番相談員は法的な権限は持っていませんが、豊富な経験を持つOBが多いため、市民から高い評価を受けています。

具体的な成果としては、相談員が迅速に対応したことにより、悪徳商法の摘発に成功したケースもあります。地域との信頼関係を築くことで、より安全な環境作りに貢献しています。

制服と装備

交番相談員の制服は、肩章付きのジャンパーやポケット付きのシャツ、スラックスに帽子が併せて着用されます。各都道府県によってデザインは若干異なりますが、制服には「交番相談員」という文字や警察本部名の刺繍が施されています。

近年、埼玉県警では制服を廃止し、私服勤務を可能にする改革が進められました。この変更により、相談員と警察官の見た目の違いが明確になり、相談員がトラブルに巻き込まれるリスクを軽減する意図があります。また、交番相談員は護身のために特殊警棒を携帯することがあるほか、警察の無線を使用するための受令機も所持しています。

勤務形態

東京都の場合、交番相談員は約1200人が各交番で交代勤務を行っており、年間の総人件費は23億円を超えています。月額報酬は約165,000円で、通常は1日あたり5時間45分、週に28時間45分の勤務が求められます。この制度は地方公務員特別職として位置づけられ、任期は最大で5年まで延長可能ですが、任命権者は警察本部長です。

交番相談員はコミュニティにおける安全の確保に貢献しており、彼らの存在は地域社会において非常に重要です。

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