京都市場駅

京都市場駅：市場と共に生きた、短い歴史の貨物駅

京都市場駅は、京都府京都市下京区に存在した、国鉄（日本国有鉄道）の貨物駅です。現在は廃駅となっており、その短い歴史と、跡地の変化を通して、時代の流れを垣間見ることができる興味深い場所となっています。

市場と一体となった存在

この駅は、京都市中央卸売市場第一市場の敷地内に位置していました。市場が開場した1927年（昭和2年）以降、市場への貨物輸送は丹波口駅を経由して行われていましたが、専用線が市場内に敷設され、貨物の利便性が向上しました。その後、1976年（昭和51年）に丹波口駅が高架化されたことを機に、貨物施設だけが地上に残る形で京都市場駅として独立開業しました。

しかし、開業時点ですでにトラック輸送が普及し始めており、鉄道による貨物輸送量は既に減少傾向にありました。京都市場駅も例外ではなく、開業後も貨物取扱量は減少し続け、わずか8年後の1984年（昭和59年）2月に廃駅となりました。短いながらも、市場の発展と深く関わった駅だったと言えるでしょう。

駅の構造と周辺環境

京都市場駅は、地上駅で、貨物ホーム1線と複数の側線を有していました。山陰本線の高架下を利用して駅舎が作られていました。この簡素な構造も、貨物輸送の減少という時代の流れを反映していると言えるかもしれません。

廃駅後の跡地は、京都市中央卸売市場第一市場水産物部の建物と駐車場になりました。2020年（令和2年）には、跡地の一部にホテルエミオン京都が開業し、新たな賑わいが生まれました。さらに、駅跡地の周辺環境も大きく変化しました。2019年（平成31年）には、JR嵯峨野線（山陰本線）の梅小路京都西駅が開業し、梅小路駅（現在の京都貨物駅）と丹波口駅を結ぶ短絡線は撤去されました。その跡地は、現在では「梅小路ハイライン」と呼ばれる歩道橋として活用され、地域住民の生活に貢献しています。

歴史を刻んだ貨物駅

京都市場駅の開業から廃止までの歴史をまとめると以下のようになります。

1927年（昭和2年）12月1日: 丹波口駅から分岐する専用線が市場内に開業。
1976年（昭和51年）3月16日: 一般駅として開業。
1982年（昭和57年）4月1日: 小荷物の取扱を廃止、貨物駅となる。
1984年（昭和59年）2月1日: 廃止。

これらの歴史的事実は、トラック輸送の普及による貨物輸送量の減少、そして時代の変化の中で鉄道駅がどのように変化し、廃れていくのかを示す、一つの事例となっています。

結論

京都市場駅は、短いながらも、京都市中央卸売市場第一市場の発展と深く関わった存在でした。その歴史は、日本の貨物輸送の変遷、そして都市開発のあり方を考える上で貴重な資料と言えるでしょう。廃駅となった現在も、その跡地は新たな姿で人々の生活に貢献しており、その変遷を通して、私たちは過去と未来を繋ぐ歴史の重みを感じることができるのです。

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