京阪鴨東線

京阪電鉄鴨東線：鴨川沿いを走る、京都の重要な交通路

京阪電鉄鴨東線は、京都府京都市東山区の三条駅から左京区の出町柳駅までを結ぶ、全長2.3kmの鉄道路線です。路線名は、鴨川の東岸を走行することに由来しています。全線地下路線であり、京阪本線の延伸線として位置づけられています。

鴨東線の役割：市内交通の要、そして東西を繋ぐ

短い路線ながら、鴨東線は京都市内における重要な役割を担っています。まず、京都市内の基幹交通として機能しています。京阪本線との直通運転により、大阪方面へのアクセスを容易にしています。また、出町柳駅は叡山電鉄叡山本線への接続駅となっており、比叡山方面へのアクセスも担っています。さらに、京都市営地下鉄との連携も図られています。通勤や観光利用など、幅広い利用形態に対応しています。

出町柳駅と三条駅の間には約12mの標高差があり、急勾配区間が存在します。この地形的特徴も、鴨東線の建設において克服すべき課題の一つでした。

加算運賃制度：建設費用の回収

鴨東線の建設には多額の費用が投じられました。そのため、開業当初から加算運賃制度が導入されています。この制度は、設備投資費用と支払利子の回収を目的としています。現在も加算運賃は設定されており、普通運賃に加えて定期券にも加算運賃が適用されています。2023年4月現在、鴨東線内各駅からの初乗り運賃は230円となっています。加算運賃制度は、資本費コストの回収が完了した時点で終了する予定です。

運行形態：京阪本線との一体的運行

鴨東線は京阪本線、そして中之島線と直通運転を行っており、これらの路線と一体的なダイヤが組まれています。線内完結の列車は、早朝と深夜に数本設定されているのみで、大半の列車は大阪方面と直通運転を行っています。特急から普通列車まで、様々な種別の列車が運行されています。神宮丸太町駅は、唯一の途中駅で、急行以下の列車が停車します。三条駅では、優等列車と普通列車の緩急接続が行われ、乗客の利便性が図られています。

鴨東線の歴史：幾多の困難を乗り越えて

鴨東線の計画は、京阪本線開業以前から存在していました。しかし、免許取得や建設開始までには、多くの困難がありました。複数の事業者による競合、景観問題、そして戦時体制や戦後の混乱などが、計画の遅延につながりました。また、京都市会においても、古都の景観を損なうという反対意見がありました。地下化などの条件が提示されたことで、計画は長らく頓挫し、「幻の路線」と呼ばれていました。

鴨川改修工事に伴い、京阪本線の地下化計画が具体化されたことを契機に、鴨東線の建設が再び動き出しました。1972年には鴨川電気鉄道が設立され、日本鉄道建設公団による建設が開始されました。1989年に京阪電鉄が鴨川電気鉄道を合併し、鴨東線が開業しました。当初は叡山電鉄との相互直通運転も構想されていましたが、車両規格や輸送需要の差などから実現しませんでした。

鴨東線開業後の効果

鴨東線が開業したことで、沿線の通勤客の利便性が向上しただけでなく、京都大学、同志社大学などの大学への通学も容易になりました。また、叡山電鉄にとっても、乗客数の増加に繋がりました。

鴨東線のデータ

路線距離：2.3km
軌間：1435mm
駅数：3駅
電化方式：直流1500V
* 最高速度：90km/h

鴨東線は、短い路線ながら、京都の交通における重要な役割を果たし続けています。その歴史には、多くの困難と努力が積み重ねられてきました。今後も、京都の街の発展に貢献していくことが期待されます。

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