今治市大三島美術館

今治市大三島美術館：日本画の宝庫と現代の息吹

愛媛県今治市の大三島に位置する今治市大三島美術館は、静謐な空間で日本の近代・現代日本画を堪能できる美術館です。大山祇神社のすぐそばに建つその建物は、重厚な切妻屋根と力強い列柱が特徴的で、訪れる人を穏やかに迎え入れます。館内は和紙で覆われた壁面が柔らかな光を反射し、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

充実したコレクションと多彩な企画展

美術館の最大の魅力は、昭和後期から現代にかけて描かれた約1000点もの日本画のコレクションです。これらの作品群は、日本画壇を代表する多くの作家たちの、若き日の力作や代表作を網羅しています。1970年代から2000年代にかけて制作された作品が多くを占めており、日本画の歴史と進化を辿る上で貴重な資料となっています。

常設展では、これらの貴重なコレクションをじっくりと鑑賞できます。また、美術館は開館以来、常に現代の日本画界との繋がりを重視し、新進気鋭の若手作家による企画展も積極的に開催しています。これにより、伝統と革新が融合した、現代日本画の息吹を感じることができる空間となっています。

美術館の歩み：町長の情熱から生まれた文化拠点

今治市大三島美術館の誕生には、地元の町長、菅省三氏の熱意が深く関わっています。河川改修によって生まれた土地に、大山祇神社と並ぶ観光拠点を創出したいという構想から、美術館建設の計画が始まりました。菅町長自身の日本画コレクションを核に、1986年、町立大三島美術館として開館しました。

当初は「町長の道楽」といった批判もあったようですが、入館料収入や絵はがき販売などの自主運営、美術雑誌への掲載、若手作家を招いた企画展開催などの活動を通して、次第に地域に受け入れられ、存在感を高めていきました。1996年には菅町長逝去後、遺族から403点の作品が「菅省三コレクション」として美術館に寄贈されました。同年、日本画家田渕俊夫氏からの寄贈作品を展示する田渕俊夫記念展示室も開設されました。

2005年には大三島町の市町村合併に伴い、現在の「今治市大三島美術館」に名称変更されました。その後も、分館である「ところミュージアム大三島」と「岩田健母と子のミュージアム」が開設され、美術館はますます充実した施設へと成長を遂げています。

アクセスと周辺情報

美術館へのアクセスは、瀬戸内運輸のバスを利用するのが便利です。「大山祇神社前」停留所から徒歩約1分です。しまなみ海道を利用する場合は、大三島バスストップでバスに乗り換えが必要です。宮浦港からは徒歩約15分です。

美術館周辺には、大山祇神社をはじめ、今治市立大三島小学校、道の駅しまなみの駅御島などがあり、観光の拠点としても最適な場所にあります。

まとめ

今治市大三島美術館は、貴重な日本画コレクションと現代の感性を融合させた、魅力的な美術館です。静かな島の大自然に囲まれた環境の中で、日本の美を堪能できる、おすすめのスポットと言えるでしょう。 美術館を訪れ、日本画の奥深い世界に触れてみてください。

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