代替滑走路

代替滑走路（だいたいかっそうろ）

代替滑走路とは、戦争やその他の緊急時に敵からの攻撃を受けて軍の空港が損傷し使用不可となった場合、高速道路や民間の滑走路を利用して軍用機が離着陸するために設けられる仮の滑走路のことを指します。このような滑走路は、臨時滑走路やハイウェイストリップとも呼ばれ、その重要性は各国の軍事戦略において一役買っています。

概要

代替滑走路の運用は、普段は民間用途で使われる滑走路を軍が臨時に徴用する形で行われることが多いです。例えば、沖縄県の下地島空港は、民間パイロットの訓練用として利用されていましたが、ちょっとした緊急時には軍の飛行機も利用することができます。また、事前に臨時滑走路として指定された道路を滑走路として使うことができるよう、あらかじめ準備が整えられていることがあります。韓国の水原市では、特に幅広で長い直線の道路を建設し、軍用機が緊急時にでも利用できるように工夫されています。

各国の運用事例

レバノン

レバノン内戦の際、空軍基地が包囲されたため、ジュニーエ市内の高速道路を改造して代替滑走路として利用されました。この滑走路は内戦中の頻繁な利用をすることはありませんでしたが、内戦が終結した後、これらの運用は廃止されました。

スウェーデン

スウェーデンでは、代替滑走路が「vägbas」と呼ばれ、冷戦時代に中立政策を取っていたため、敵からの攻撃に備え高速道路を滑走路として利用するシステムがありました。しかし、2004年にこの運用は廃止されました。

ドイツ

冷戦時のドイツでは、NATOの一環としてアウトバーンでの離着陸訓練が盛んに行われていました。緊急離着陸場、すなわちNotlandeplatzが指定され、必要な器材が整備されていました。

オーストリアとスイス

アルプス山脈地域ではオーストリアが簡易滑走区間を設け、高速道路を非常時に利用する訓練を行っていましたが、1999年の大雪の際には救助ヘリの離着陸に役立てられました。スイスでも高速道路の2kmの直線区間が代替滑走路として利用されることがありましたが、冷戦の終結以降、演習は実施されなくなりました。

ポーランド

ポーランドではDOL（Drogowy odcinek lotniskowy）と呼ばれる道路を代替滑走路として利用し、定期的に軍事演習を実施していましたが、NATO加盟以降その運用は縮小傾向にあります。

韓国

韓国には「非常滑走路」として設定された高速道路があり、主に1970年代に整備されました。しかし、近年では訓練の頻度が減り、非常滑走路の役割が低下しました。

中国と台湾

中国の軍は高速道路に代替滑走路を設け、それを活用しつつあります。台湾もまた高速道路の直線区間を「戰備跑道」として指定し、軍用機が離着陸できる体制を整えています。

日本

日本では航空自衛隊が特定の飛行場を代替滑走場として利用し、必要に応じた訓練を行っています。

結論

代替滑走路は、緊急時における軍用機の運用において重要な役割を果たします。各国の状況に応じて柔軟に運用されるこの制度により、安全の確保が図られています。今後もその重要性は変わらず、国防の一環として注目される存在であり続けるでしょう。

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