伊東敏恵

伊東 敏恵（いとう としえ）氏は、1972年10月23日生まれの日本のNHKアナウンサーです。

山口県立徳山高等学校を卒業後、東京女子大学に進学し、学業を修めました。大学卒業後の1996年、NHKに入局。同期には、住吉美紀氏（後に退職）や上野速人氏、中條誠子氏、伊藤慶太氏など、後に報道や情報番組で活躍する多くのアナウンサーがいました。

キャリアの初期には、生活情報番組である『おしゃれ工房』（東京発）で司会を務め、その後、平日午前の情報番組『お元気ですか日本列島』でも司会として親しみやすい存在感を示しました。これらの番組で培った経験は、その後の報道分野での活躍の礎となります。

2006年4月には、NHKの看板ニュース番組『ニュースウオッチ9』がスタート。伊東氏は、この番組の初代女性メインキャスターという重責を担いました。夜の主要なニュース番組の顔として、2008年3月までの2年間、日々の重要な出来事を伝え続けました。

『ニュースウオッチ9』を降板後は、単発の特別番組などを担当。私生活では、不妊治療を経て妊娠し、第一子となる女児を出産しました。出産後もアナウンサーとしての活動を続け、報道、情報、教養、ドキュメンタリーなど、幅広いジャンルの番組でその声と存在感を発揮しています。

特にドキュメンタリー番組におけるナレーションや語り手としての評価が高く、数多くのNHKスペシャルで重要な役割を担ってきました。例えば、『四川大地震』では司会を務め、『病の起源』、『封印された原爆報告書』、『原爆投下 活かされなかった極秘情報』、『きのこ雲の下で何が起きていたのか』、『決断なき原爆投下 米大統領71年目の真実』といった、戦争や災害、歴史に関するテーマの番組で印象的なナレーションを担当しています。

『新・映像の世紀』シリーズ全6回や、近年の『新・ドキュメント太平洋戦争』シリーズでも語りを務め、歴史的事実を伝える重厚な番組に貢献しています。

また、情報番組『情報LIVE ただイマ!』や、文化・芸術番組『日曜美術館』（Eテレ）、報道番組『クローズアップ現代+』など、様々な時間帯、様々な分野の番組で司会やキャスターを務めました。その他、『鶴瓶の家族に乾杯』のリポーターや、『SONGS』のナレーションなど、多岐にわたる番組に関わっています。

一時期は甲府放送局に勤務し、アナウンス副部長兼アナウンス統括として、番組制作の編集責任者を務めるなど、管理職的な業務も経験しています。山梨県のニュースや『Newsかいドキ』の編集責任者としても携わり、地方放送局の運営にも貢献しました。

2023年4月からは、ドキュメンタリー番組『映像の世紀 バタフライエフェクト』で語りを担当し、現在も継続中です。さらに、2024年放送の大河ドラマ『光る君へ』では、本編の語り手として、視聴者を平安時代の世界へと誘う役割を担っています。また、2024年3月には特別番組『あのころのわたしへ〜就活・生き方 語り合おう〜』で司会を務めるなど、多方面での活躍を続けています。

伊東氏は、報道の最前線から、歴史ドキュメンタリーの語り、生活・文化番組の司会、地方局での管理業務まで、NHKアナウンサーとして非常に幅広い経験を持つベテランです。その落ち着いた語り口と確かなアナウンス技術で、多くの視聴者から信頼を得ています。

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