佐々木恵美子

佐々木恵美子（ささき えみこ）は、1913年生まれの日本の脚本家です。詩人・劇作家の杉谷代水の長女として生まれました。彼女の脚本家としてのキャリアは、ラジオドラマの分野で特に輝きを放ちました。

1951年から1964年まで放送されたラジオドラマ「チャッカリ夫人とウッカリ夫人」は、佐々木恵美子が原作者の一人として携わった代表作です。この作品は、市川三郎、梅田晴夫、中江良夫、菜川作太郎、吉田みき、名和青朗、永六輔といった錚々たるメンバーが脚本を担当し、ラジオ東京（現在のTBSラジオ）で放送されました。佐々木恵美子は1961年までこの作品の脚本に携わりました。

その他にも、「ホガラカさん」（1955年頃）、「君美しく」（1956年頃）、「オヤカマ氏とオイソガ氏」（1957年2月～1966年頃）など、数多くのラジオドラマの脚本を手がけました。「ホガラカさん」は菜川作太郎との共著で、「君美しく」は田井洋子との共著です。「オヤカマ氏とオイソガ氏」は、岡部冬彦の原作を基に、菜川作太郎と共に脚本を担当しました。

1950年代後半から1960年代にかけては、単発のラジオドラマも数多く手がけています。ニッポン放送の「金語楼劇場」では、「引越し夫婦」（1958年3月20日）、「次郎長先生」（1958年6月8日）の脚本を担当しました。ラジオ東京では、「ママは女史です」（1953年2月3日）、「せめて三日でも」（1953年8月28日）を執筆。NHK第一放送では、「ここは動物別世界」（1950年3月25日）、「サトル先生大いに悟る」（1951年6月23日）、「恋人は何人目」（1956年5月10日）などの脚本を執筆しています。

また、テレビドラマの脚本も手がけており、「嫁ぐ」（1960年6月30日）、「うるわしき日 前編・後編」（1961年6月30日、7月7日）、「夫の居ぬ間」（1962年9月6日）などが確認されています。「うるわしき日」は芝木好子の原作を基にした作品で、佐々木恵美子は脚色を担当しました。

佐々木恵美子は、執筆活動以外にも、日本放送作家協会の役員を務めるなど、業界の発展にも尽力しました。彼女の作品は、ラジオドラマの黄金期を支え、多くの人々に愛されました。また、著作として『ホガラカさん』（菜川作太郎との共著）、『君美しく 第1部』（田井洋子との共著）、『明朗ラジオドラマ集　チャッカリ夫人とウッカリ夫人・他8編』などを出版しました。

さらに、父である杉谷代水の選集や、アラビアンナイトの翻訳本の訂補にも携わっており、文学的な才能も発揮しました。ラジオドラマの脚本集や、女流劇作家の選集にも作品が収録されており、彼女の才能は多岐に渡っていました。

佐々木恵美子の作品は、現代においてもラジオドラマ史を語る上で欠かせないものであり、彼女の功績は長く語り継がれていくでしょう。

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