佐藤中陵

佐藤中陵（さとう ちゅうりょう）

佐藤中陵は、宝暦12年2月11日（1762年3月6日）に生まれ、嘉永元年6月6日（1848年7月6日）に没した、江戸時代後期の水戸藩の本草学者です。本名は成裕、字は子綽、通称は平三郎といい、中陵は彼の号です。温故斎や青莪堂といった別号も持ち、一字姓である滕を使い、滕成裕と名乗ることもありました。

生涯

佐藤中陵は、佐藤端義の子として江戸青山に生まれました。彼は本草学の知識をもって、薩摩藩、白河藩、米沢藩、会津藩、備中松山藩、そして水戸藩と、多くの藩に仕えました。特に水戸藩では、寛政11年（1799年）に藩主の徳川文公に召し抱えられ、植物方として活躍しました。文政10年（1827年）には江戸奥方番となり、天保7年（1836年）からは水戸にて勤務しました。天保14年（1843年）には御次番列に進み、弘道館の本草教授となりました。

水戸藩主であった徳川斉昭の命を受け、『山海庶品』を編纂しました。この編纂のために、北海道を除く日本全国を巡り、各地の植物や生物、鉱物などに関する知識を収集しました。彼の探求心と学識の深さが伺えます。

業績

佐藤中陵は、本草学の発展に大きく貢献しました。特に『山海庶品』は、当時の自然科学に関する貴重な資料として高く評価されています。また、弘道館での本草教授として、多くの人材を育成し、その知識と技術を後世に伝えました。

著書

山海庶品（サンカイショホン）: 日本各地の産物を網羅的に解説した書物。当時の人々の生活や文化を知る上でも貴重な資料です。国立国会図書館デジタルコレクション
飼籠鳥（カイコドリ）: 鳥に関する書物。国立国会図書館デジタルコレクション
和名鈔塞問
温故斎菌譜（オンコサイキンプ）: 菌類に関する書物。国立国会図書館デジタルコレクション
怪石志（カイセキシ）: 石に関する書物。国立国会図書館デジタルコレクション

関連項目

常磐共有墓地

参考文献

* 茨城新聞社編　『茨城県大百科事典』　茨城新聞社、1981年、465頁。

佐藤中陵は、水戸藩における本草学の発展に大きく貢献した人物であり、彼の業績は今日でも高く評価されています。彼の著書は、当時の自然科学や文化を知る上で貴重な資料であり、後世の研究者にとって重要な情報源となっています。

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