保健室登校

保健室登校とは

保健室登校とは、学校に登校はするものの、教室での授業には参加せず、代わりに保健室や図書室などで過ごすことを指します。これは、不登校の一形態として捉えられることもありますが、教室への復帰を目指す過程における重要な段階とも考えられています。また、保健室通いとも呼ばれることがあります。

定義

日本学校保健会は、保健室登校を「常時保健室にいるか、特定の授業に出席できても学校にいる間は主として保健室にいる状態」と定義しています。この言葉は、1977年に刊行された書籍が初出とされています。

実態

文部科学省の調査によると、中[[学校]]では9割の学校に保健室登校の生徒が存在するなど、決して珍しい現象ではありません。小学生よりも中学生に多く見られる傾向があります。保健室登校の背景には、いじめや友人関係の悩み、学校生活への不安、性同一性障害、同性愛など様々な要因が考えられます。

要因

保健室登校に至る要因は多岐にわたります。

心理的不安や対人関係の問題: いじめや友人関係のトラブル、先生との関係などが原因となることがあります。
学校生活への不安: 学校の授業や雰囲気に馴染めない、または、漠然とした不安を抱えている場合もあります。
特定の悩み: 性同一性障害や同性愛といった悩みを抱え、誰にも相談できずにいる場合もあります。
不登校からの復帰段階: 不登校だった生徒が、教室への復帰を前に、まずは保健室で学校に慣れようとするケースがあります。

保健室登校の意義と課題

意義

保健室は、保健室登校の生徒だけでなく、他の生徒や教員も利用するため、様々な人との交流が生まれる可能性があります。また、人目を気にせずに安心して過ごせる場所でもあり、復帰への一歩につながることが期待されます。

人間関係の構築: 他の生徒や先生との交流を通して、人間関係の構築を学ぶことができます。
社会性の獲得: 学校という社会の中で、少しずつ社会性を身につけていくことができます。
自己理解: 保健室という安心できる環境で、自分自身と向き合い、理解を深めることができます。

課題

一方で、保健室は多くの生徒が利用するため、落ち着いて過ごせないと感じる生徒もいます。また、保健室登校が長期化してしまうと、教室への復帰が難しくなる可能性も指摘されています。

居心地の悪さ: 他の生徒が多くいる時は、落ち着いて過ごせないことがあります。
長期化のリスク: 保健室登校が長期化すると、教室への復帰が難しくなることがあります。
周囲の無理解: 教員や他の生徒から、理解を得られない場合があります。

学校側の対応

出席の扱い

保健室登校の出席扱いは、学校長の判断に委ねられています。多くの学校では出席扱いとしていますが、欠席扱いとする学校もあります。

出席扱い: 学校に登校しているため、欠席扱いとしない学校が多いです。
欠席扱い: 高等学校などでは、欠席扱いになる場合もあります。
課題点: 出席扱いとすることで、不登校の実態が見えにくくなるという指摘もあります。

養護教諭の役割

養護教諭は、生徒の心のケアを行いながら、教室への復帰を支援する重要な役割を担っています。

カウンセリング: 生徒の悩みを聞き、心理的なサポートを行います。
保護者との連携: 保護者と協力し、生徒の状況を把握します。
教職員との連携: 担任や他の教職員と協力し、生徒の復帰を支援します。

課題

養護教諭は、生徒一人ひとりの状況を把握し、復帰までの見通しを持つ必要があり、大きな負担がかかっています。また、教員から「甘やかし」と誤解されることもあります。学校全体で理解し、協力していくことが必要です。

負担の大きさ: 養護教諭の負担が大きいことが課題です。
教員の誤解: 教員から理解を得られないことがあります。
専門家との連携: 医師やスクールカウンセラーなどの専門家との連携が必要です。

教室への復帰

復帰への支援

教室への復帰を支援するためには、生徒の状態をしっかりと把握し、段階的に進めていくことが大切です。

見守る: 生徒のペースを尊重し、見守ることが大切です。
育む: 生徒の自信を育み、自己肯定感を高めることが大切です。
つなぐ: 生徒と先生、生徒と友達とのつながりを築くことが大切です。
導く: 生徒が自ら教室へ行けるように、導いていくことが大切です。

効果的な対応

教室への復帰に効果的な対応としては、以下のようなものが挙げられます。

保護者との連携: 保護者と協力し、生徒をサポートすることが大切です。
登校時間の自由: 生徒のペースで登校できるように、登校時間を自由にすることが有効な場合があります。
見守る姿勢: 教員は見守り、生徒が自ら行動できるように促すことが大切です。
学習活動の導入: 学習活動を通して、学校生活に慣れていくことが効果的です。
学校行事への参加: 少人数での学校行事への参加から、少しずつ学校生活に慣れていくことも有効です。
他者との関わり: 他の生徒や教員との交流を通して、社会性を身につけることが大切です。
外部機関との連携: 必要に応じて、外部機関と連携し、専門的なサポートを受けることも大切です。

まとめ

保健室登校は、不登校の前段階や復帰への移行期間に見られるものであり、様々な要因が絡み合って起こります。学校、保護者、そして生徒本人が協力し、教室への復帰を目指すことが重要です。養護教諭は、生徒の心のケアや、教室への復帰支援において、重要な役割を担っています。

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