共に歩く

映画『共に歩く』

『共に歩く』は、2014年4月5日に劇場公開された日本のドラマ・恋愛映画です。近年増加傾向にあると言われる、互いに過度に依存することで関係を維持しようとする「共依存」を主要なテーマに据えた作品として注目されました。

この映画でメガホンを取り、自ら脚本も手掛けたのは宮本正樹監督です。本作が彼の長編映画監督デビュー作となります。物語は、それぞれに複雑な事情や問題を抱える三つの人間関係を通して、「共に生きる」ことの光と影を描き出します。

描かれる三つの関係性

作品の中心となるのは、以下の三組の登場人物たちが織りなす人間模様です。

1. 岩村明美と松本哲也：過去の経験から心に深い傷を負い、精神的に不安定な状態にある明美は、恋人である哲也に過度に依存し、彼を強く束縛してしまいます。小学校教諭である哲也は、そんな明美を理解し、献身的に支えようと努めますが、彼女の言動に戸惑いを隠せないでいます。
2. 弓永タケルと弓永真由美：哲也が担任を務めるクラスの生徒であるタケルは、アルコール依存症の父親の影響を受け、不安を感じると自分の体を叩くなどの自傷行為に及んでしまいます。母親の真由美は、我が子の抱える問題に苦悩し、時にはタケルの行動に気味悪さを感じてしまうことさえあります。
3. 岩村陽子と岩村定雄：明美の母親である陽子は、アルツハイマー型認知症を発症します。病気の進行に伴い、長年連れ添った夫である定雄に対する信頼に疑念を抱くようになります。定雄は、変化していく妻の姿に困惑しながらも、夫婦としての絆を守ろうと葛藤します。

これら三組の人間関係が時に交錯しながら、登場人物たちがそれぞれの困難にどう向き合い、関係性を維持しようとするのかが繊細に描かれます。共依存というテーマを通じて、人間関係の脆さ、支え合うことの難しさ、そして希望が探求されます。

キャスト

物語を彩る主な出演者は以下の通りです。

松本哲也：小澤亮太
岩村明美：入山法子
弓永真由美：河井青葉
弓永タケル：長島暉実
川島ケンジ：日向丈
野口雄一：染谷俊之
岩村陽子：朝加真由美
岩村定雄：螢雪次朗

スタッフ

本作を支えた主な制作スタッフは以下の通りです。

監督・脚本：宮本正樹
製作：梶修明、村田亮、長田安正、菅谷英一
プロデューサー：佐伯寛之
撮影：千葉史朗
美術：吉野昌秀
音楽：藤野智香
録音：光地拓郎
照明：上野敦年
編集：佐藤崇
衣裳/スタイリスト：EIKI、石山貴文
ヘアメイク：平岡美樹
制作担当：三島翔一
* 助監督：井手上拓哉

DVD情報

本作のDVDは、2016年9月30日に発売されています。発売元および販売元はTOブックスです。

『共に歩く』は、現代社会が抱える共依存という問題を真正面から捉え、登場人物たちの心の葛藤や関係性の変化を深く掘り下げた作品であり、観る者に人間の繋がりや支え合いについて改めて考えさせる内容となっています。

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