内ゲバ

内ゲバの概念と歴史

内ゲバとは「内部ゲバルト」の略称で、同一の陣営内で起こる暴力的な抗争を指します。主に日本における学生運動や新左翼党派間で顕著であり、左翼陣営内部の党派間や団体による内部抗争を示す言葉として用いられています。このような抗争は一般的に「内ゲバ」と呼ばれ、区別のために国家権力に対する暴力的抗争は「外ゲバ」と称されます。特に新左翼が革命を目指す中で起こる路線の対立やヘゲモニー争奪が、暴力に発展していく様は、内ゲバの特徴的な側面となっています。

内ゲバの発生背景

日本共産党が1950年代に内部で分裂したことが、内ゲバの初期のきっかけとされています。特に1950年には日本共産党が所感派と国際派に分裂し、これに伴い学生運動の中でも暴力行為が多発しました。共産党の影響を受けた新左翼運動もまた、この流れを汲んでおり、1960年代初期には多くの新左翼党派が誕生し、さらなる内ゲバを引き起こします。内ゲバが起こる理由としては、他派への攻撃や自身の派閥を守るための闘争が挙げられます。

新左翼の内部抗争

1960年代後半に入ると、新左翼の党派間での内ゲバが激化しました。特に中核派、革マル派、革労協などが互いに対立し、人質やリンチが頻繁に行われるようになりました。この過程で、内ゲバは一つの組織的な武闘へと発展し、凶器も段々と凶悪化していきました。暴力的な抗争は、時として集団での拉致や致命的な結果を招く事件にまで及ぶことがありました。1970年代には特に中核派と革マル派との間での抗争が凄惨を極め、殺人事件にまで発展したことが記録されています。

内ゲバの犠牲者数

内ゲバの結果、数多くの若者たちが命を落としました。1970年代には516人以上の内ゲバによる死傷者が確認されており、さらにその後も多くの内ゲバ事件が発生しました。犯罪白書の記録によれば、1968年から2000年にかけて内ゲバ事件は2020件、死者97名、負傷者5429名に達しています。これには誤認による事故や巻き添えも多数存在していましたが、こうした事象が新左翼運動に対する人々の信頼を損ねる要因ともなりました。

内ゲバの影響

内ゲバの広がりは、日本の社会主義や共産主義に対する幻滅感を生み出し、新左翼運動そのものの衰退へつながりました。暴力的な抗争は当初の運動の理念から逸脱し、組織内での分裂や対立に拍車をかけていくこととなりました。歴史的な文脈においても、内ゲバに関する議論は多く、単なる党派間の問題として片付けられない複雑な側面を持っています。イデオロギーや理念を巡る争いの中で、主体的に行われる抗争は、結局は連帯を破壊し、内部分裂を招く結果となりました。

現代における内ゲバの認識

最近では、内ゲバという用語は広がりを見せ、政治分野に限らず、同じ組織内での対立や不毛な仲間割れをも指す言葉として使われるようになっています。新左翼の抗争が持つ未解決の問題や矛盾を、現代の文脈でどう捉えるかは今後の議論の重要なテーマとなるでしょう。

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