所感派

所感派の概要

所感派（しょかんは）は、日本共産党内での派閥の一つであり、1950年以降の党の内部分裂の中で主流派となりました。この派閥は、日本共産党の政治局員である徳田球一や野坂参三、志田重男、伊藤律などが所属していました。初めは、中国共産党からの批判を受けて、党内の議論を展開しつつも、暴力革命路線を推進していました。しかし、それが社会的な支持を失い、1952年の衆議院選挙で惨敗を喫する結果となりました。

派閥形成の背景

所感派の名称は、1950年1月に発表された論文「日本の情勢について」への反論から生まれました。この論文では、日本共産党の前提を批判する内容が展開されましたが、一方で所感派はそれに反論して、自らの見解を述べる形となりました。この時、党内は意見が対立し、コミンフォルムの批判を受け入れる者を「国際派」と呼ぶなど、内部対立が深まっていきました。

中国共産党からも批判を受けた際、所感派は党内での一致が取れずに分裂が生じ、最終的には北京に指導部を設けることに至りました。この動きによって、日本共産党は分裂し、所感派は特に影響力を強めることとなりました。

暴力革命路線の採用

所感派は、1951年に開催された第5回全国協議会で新たな指針を採択しました。この際、戦後の米軍に対しての解放軍規定や平和革命論を放棄し、武装闘争を新たな路線として採ることとなりました。この決定のもと、所感派は「軍事方針」と呼ばれる暴力的な活動を展開し、国内での派出所の襲撃や火炎瓶を用いた闘争など、テロ行動を多数行うようになりました。

社会的支持の喪失

こうした暴力的な活動は、吉田茂内閣の下で制定された破壊活動防止法によって厳しく取り締まられました。その結果、所感派はかつて存在した社会的支持を失い、1952年に行われた衆議院選挙では全員が落選するという重大な結果を招きました。この事態は、日本共産党の内部における再考を促すこととなりました。

再統一と反省

所感派のトップであった野坂参三は、選挙での惨敗を受ける中で暴力革命路線を反省し、1955年に帰国して国際派との和解を図りました。その際には、暴力闘争を「極左冒険主義」と位置付け、党の正しい情勢判断の重要性を再確認しました。これにより、日本共産党は再統一の道を歩むこととなりました。

宮本体制と派閥の再編

六全協以降、宮本顕治が党の実権を掌握し、党内の力関係も変化しました。彼は党の再統一を優先し、暴力革命を支持した党員も宮本派に吸収されていきました。党内での力のある派閥が失われる中、宮本の指導権が確立されると、反宮本派への小規模な粛清が行われていきました。

所感派の位置づけとその影響

所感派は、コミンフォルムの批判を受けつつも、日本共産党の中において暴力革命路線を推進する重要な役割を果たしました。最終的に党が再統一された後も、その暴力革命路線の影響は続き、一部の党員は新左翼として活動を続けました。これ以降、そもそも暴力革命路線を採用したことは、日本共産党に対する批判の源ともなり、その後の政治的展開に影響を与え続けました。

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