内野安打

内野安打の概要

内野安打（ないやあんだ）は、野球において打者がフェアのゴロを打ち、その打球が内野に留まりながら無事に一塁に達することで記録される安打の一つです。このような安打は公式記録では通常の安打と同様に扱われ、特別な名称は持ちませんが、多くの場合、単打として分類されます。ただし、稀に二塁打以上として記録されることもあります。

内野安打の条件

内野安打が生まれる条件には、いくつかの要素があります。まず、左打者であることが挙げられます。これは、左打者がバッターボックスにおいて一塁に近い位置に立つため、速やかに一塁に到達しやすいからです。

次に、打者の足の速さが重要です。特に打球が放たれた後のスプリントが速ければ、内野安打の可能性が高まります。また、打球が内野の捕りにくい位置、特に三塁付近に向かうと、一塁までの距離が遠いため、内野安打に繋がることが多いです。さらに、一塁に走者がいないことも条件の一つであり、もし一塁に走者がいればフォースアウトとなり安打にはなりません。

また、内野が天然芝であることも内野安打を生みやすい要因です。人工芝や軟式野球では、強い打球が高く跳ね上がり、野手が捕球するまでの時間が稼がれ、安打になる確率が高まります。このようにして獲得された安打は特に「ボルチモア・チョップ」と呼ばれるケースがあります。

内野安打にならない場合

内野安打が記録されないケースもいくつかあります。例えば、内野手が打球をファンブルした場合やミスなく処理したが、その後の送球が逸れて打者走者が一塁に生きた場合です。このような場合は、安打はカウントされず、代わりに内野手に失策が記録されます。ただし、これらのミスが存在しなかった場合でも、打者走者が安全に一塁に到達できたと判定されれば安打として記録されます。

さらに、内野手が打球を処理する際に外野にまで及んだ場合、一般的には内野手が打者をアウトにする前に一塁に到達し、内野安打と見なされますが、打球が外野まで達した場合は内野安打にはなりません。また、打者走者が一塁に生きた場合でも、野手が他の走者をアウトにすべく一塁以外の塁に送球した場合、記録員によって野手選択と見なされ、打者には安打が認められない場合があります。

サヨナラゲームにおける特例

日本の野球では、サヨナラゲームの際に内野安打として記録される特例が存在します。無死または1死で三塁に走者がいる状況で内野ゴロが放たれ、本塁へ送球するも間に合わず得点となった場合、通常は野手選択が記録されるはずですが、サヨナラゲームとしての成立が優先され、内野安打として記録されることが慣例化しています。

さらに、内野手が本塁送球を断念し、一塁でも打者をアウトにする選択を取っても、この場合は無視され安打扱いとなります。しかし、これは日本独自の慣行であり、メジャーリーグでは通常通り野手選択として記録されます。

歴代内野安打記録

日本プロ野球（NPB）やメジャーリーグベースボール（MLB）における内野安打の記録も注目されており、選手によっては特筆すべき成績が残されています。各年ごとに内野安打の多い選手やその集計に関するデータも存在します。

このように、内野安打は打者の足の速さや打球の位置、状況に応じた記録方法によってその内容が大きく変わってくる、野球の中でも興味深い側面を見せる安打の一種です。

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