冠婚葬祭互助会

冠婚葬祭互助会とは

冠婚葬祭互助会は、会員が毎月一定の掛金を積み立てることで、将来の結婚式や葬儀などの冠婚葬祭サービスを受けられるシステムです。略して「互助会」とも呼ばれます。このシステムは、経済産業省の認可を受けた組織によって運営されており、相互扶助の精神に基づいた事業形態です。

概要

互助会は、一時的に大きな支出が必要となる冠婚葬祭費用を事前に積み立てることで、会員同士が助け合うことを目的としています。会員は、将来の儀式に備えて掛金を積み立て、必要な時期にサービスを受けることが可能です。この方式は、前払い方式であり、割賦販売法上の「前払式割賦販売」と解釈されることもあります。

2018年3月31日現在、全国に250社の互助会が存在し、総前受金は2兆4592億円、加入契約数は2313万件と推定されています。これらの数字から、互助会が日本の冠婚葬祭において重要な役割を担っていることがわかります。

沿革

互助会の歴史は、1948年に神奈川県横須賀市で設立された横須賀市冠婚葬祭互助会（現・横須賀冠婚葬祭互助会）に始まります。その後、1953年には名古屋市冠婚葬祭互助会（現・平安閣グループ）が設立され、全国に広がっていきました。

1972年には、改正割賦販売法の対象となり、経済産業省（当時は通商産業省）による許可制事業（前払式特定取引業者）となりました。この法整備により、互助会事業はより公的な規制の下で運営されるようになりました。1973年には、互助会保証株式会社が設立され、会員の保護を強化する動きも進んでいます。

業界団体・統括団体

互助会業界には、複数の業界団体が存在します。主な団体としては、全国冠婚葬祭互助会連盟、全日本冠婚葬祭互助協会、全中協協同組合、全日本[[冠婚葬祭互助協同組合]]（玉姫殿・玉泉院）、全日本冠婚葬祭互助支援協会などがあります。業界団体が乱立している状況があり、それぞれの団体が共通の施設名を使用する傾向があります。

課題

経済産業省許可表示について

1975年には、未許可の互助会が「通産省・政府許可」を謳って会員を勧誘していたことが問題となりました。これに対し、通商産業省（現・経済産業省）は、未許可業者に対して指導を行うよう全国に通達しました。この事件は、互助会業界における不適切な勧誘行為に対する注意を喚起するものでした。

解約手数料について

互助会の解約手数料は、消費者問題となることが多く、2013年には経済産業省が全日本冠婚葬祭互助協会と共に解約手数料に関する研究会を発足させました。2015年には、最高裁判所が「会報発行料と集金費用を超える分は取ってはならない」との判断を示し（セレマ訴訟）、解約手数料に関する一定の基準が示されました。さらに、2016年には、最高裁判所が「勧誘関連人件費、会員管理費用も解約手数料に含まれる」との判断を示し（日本セレモニー訴訟）、解約手数料の範囲がより明確化されました。

まとめ

冠婚葬祭互助会は、相互扶助の精神に基づき、将来の冠婚葬祭費用を積み立てるシステムです。経済産業省の認可を受け、多くの人々に利用されていますが、解約手数料などの課題も存在します。今後も、消費者保護の観点から、適切な運営と規制が求められるでしょう。

参考文献

『あなたの葬送は誰がしてくれるのか』（内藤理恵子著、興山舎、2017年）
『冠婚葬祭データブック 2017』（冠婚葬祭総合研究所編、2017年）

外部リンク

『冠婚葬祭互助会』 - コトバンク
経済産業省>冠婚葬祭互助会の解約手数料のあり方等に係る研究会

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