冬野ユミ

冬野ユミ：ジャンルを超越する音楽家

冬野ユミは、1965年愛知県生まれの作曲家、編曲家、そしてピアニストである。幼少期より音楽に親しみ、3歳からピアノを習い始める。10歳でハモンドオルガンと出会い、その魅力に傾倒。14歳という若さでプロのハモンドオルガン奏者としてデビューを果たし、演奏活動を開始した。クラシック音楽よりも、ジャズやポップスの世界に強い関心を抱き、独自の音楽性を育んでいった。

学生時代から、ピアニスト、キーボーディストとして活躍しながら、作曲家としてのキャリアもスタートさせる。映像作品や演劇の音楽制作に携わり、着実に経験を積んでいった。

1990年には、赤川力、藤田伸彦と共に音楽制作ユニットBANANAを結成。革新的で実験的な音楽を目指し、「聴いたことのない音楽を、やりたい放題作ろう！」というコンセプトのもと、ジャンルにとらわれない自由な音楽創作活動を展開する。サンプリングを積極的に取り入れたアルバム『叩き売りbanana』をはじめ、『微睡 MADOROMI』、『condensed BANANA』など、数々の作品を発表した。

1995年には、サウンド&レコーディング・マガジン主催のイベント「Ecole alternative artists」で、冬野ユミが作詞作曲した楽曲「密林の河」が、音楽家、細野晴臣氏に高く評価された。このことがきっかけとなり、アルバム制作に参加する機会を得るなど、音楽活動の幅を広げていった。

その後、ラジオドラマ演出家の角岡正美氏との出会いによって、サウンドトラック制作の世界へと足を踏み入れる。彼女の才能は、様々なメディアで開花していく。

2018年には、NHK土曜時代劇『アシガール』のサウンドトラックがiTunes Chartsで連続1位を獲得するなど、大きな成功を収める。

冬野ユミの音楽性は、遊び心と実験精神に満ち溢れている。アンダーグラウンドな前衛音楽やオルタナティブな音楽から、メインストリームの音楽まで、自由自在に行き来するその音楽性は、実に多彩で魅力的だ。

冬野ユミの作品

彼女の作品は、テレビドラマ、ラジオドラマ、テレビ番組のテーマ曲、テレビドキュメンタリーなど、実に多岐にわたる。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』(2019年)や大河ドラマ『光る君へ』(2024年)といった話題作にも携わっている。

主なテレビドラマ作品:

お買い物 (2009年)
恋するキムチ (2010年)
迷子 (2011年)
中学生日記 (シリーズ転校生～僕と君のメロディー) (2011年)
港町相撲ボーイズ (2012年)
最終特快 (2012年)
父の花、咲く春～岐阜・長良川幇間物語～ (2013年)
徒歩7分 (2015年)
創作テレビドラマ大賞「川獺」 (2016年)
アシガール (2017年)
アシガールSP ～超時空ラブコメ再び～ (2018年)
スカーレット (2019年～2020年)
* 光る君へ (2024年～)

主なラジオドラマ作品:

NHK-FM放送のFMシアターをはじめ、数多くのラジオドラマ作品に音楽を提供している。

その他の作品:

テレビ番組テーマ曲、テレビドキュメンタリー、映画音楽など、多様な分野で才能を発揮している。

冬野ユミは、実験的な音楽ユニットBANANAでの活動や、細野晴臣氏との共演など、常に新しい音楽表現に挑戦し続ける、真に独創的な音楽家である。その活動は、これからも音楽シーンを豊かなものにしていくに違いない。

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