冷凍みかん

冷凍みかんの魅力と歴史

冷凍みかんとは、みかんを凍らせた食品で、特に日本ではその独特な食感と味わいから広く親しまれています。昭和30年代以降、鉄道の駅や列車内での販売が進み、季節問わず楽しめるデザートとして多くの人に支持されています。冷凍みかんは、既存の果物とは一味違う楽しみ方を提供しており、その背景にはさまざまな製造の工夫や歴史があります。

作り方

冷凍みかんの製造プロセスには、いくつかの重要なステップがあります。まず、みかんを徹底的に洗浄し、水切りを行います。選別した後、凍結を施しますが、保存中の乾燥や果皮の色変わりを防ぐために、4〜5％の薄い氷の膜をかけます。この工程は「グレーズ」と呼ばれ、みかんを包み込むように保護する役目を果たします。

一般家庭でも、この冷凍みかんを簡単に作ることができます。まず、みかんを丁寧に洗い、余分な水分を拭き取った後、冷凍庫でしっかりと冷やします。その後に冷水でさっとくぐらせることで、薄い氷の膜を作ることが可能です。この手法により、冷凍みかんは1〜2ヶ月の保存が可能となります。

歴史の歩み

冷凍みかんの商業生産は1951年に始まりました。日本冷蔵（現在のニチレイ）が焼津で試作を行い、翌年にはアメリカにも輸出されました。また、その年には渋谷の東横百貨店で冷凍みかんをジュースに加工した商品も販売しました。

また、鉄道販売の発展には、小田原の株式会社井上の存在が欠かせません。彼らは従来、冬から春にかけて販売されていたみかんを夏でも楽しめるよう、冷凍技術の応用を試みました。1955年に小田原駅のキヨスクで試験的に販売を始め、その後静岡県など東海道線沿線まで販売が広がりました。昭和30年代から40年代が冷凍みかんの出荷ピークとなり、1960年代には、井上社単独で年間1000万個の売上を記録しました。

この時期、特に学校給食のデザートとして多くの子供たちに親しまれ、冷凍みかんの認知度は一気に高まりました。しかし、平成時代に入ると、アイスクリームなど他の冷たいお菓子との競争や、冷房設備の進化により販売は減少傾向にありました。それでも、2006年には静岡県内で約5万5000個が駅や給食として消費されるなど、根強い人気が残っていました。

文化への影響

2006年にはバンドGTPが「冷凍みかん」という曲を発表し、その人気が急増した時期もありました。曲は静岡エフエム放送でヒットし、冷凍みかんの売上にも大きな影響を与えました。このブームによって、静岡市内のスーパーマーケットではみかんの注文が急増し、特に4個入りのネット入り製品が注目されました。さらに、他の地域にもこの流行が波及し、冷凍みかんの売上は倍増しました。

関連商品と新たな展開

冷凍みかんの派生商品として、冷凍パインも存在しました。同じく東海道線沿線で販売され、特に沖縄県では駄菓子屋などにも流通しました。近年では、「むかん」という皮を剥いたみかんを冷凍した商品も市場に投入され、好調な売上を記録しています。

まとめ

冷凍みかんは、ただのスイーツではなく、長い歴史と文化的背景を持つ日本のアイコン的な食品です。家庭での楽しみ方から、駅や学校給食まで、幅広いシーンで親しまれている冷凍みかんは、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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