冷風機

冷風機とは

冷風機は、家庭用クーラーと同様の原理で、吸い込んだ空気を冷却して送風する局所冷房装置です。小型クーラーと考えることができ、冷却された空気と排熱を混合して送風する除湿乾燥機とは異なり、冷風のみを送風します。スポットクーラーやスポットエアコンとも呼ばれ、工場や厨房など、特定の場所を冷やすのに適しています。

原理と特徴

冷風機は、コンプレッサーと熱交換器を備え、室内の空気を吸い込み、冷風と熱風を同時に排出します。冷風扇よりも、一般的なエアコンに近い構造です。キャスターや取っ手が付いているものが多く、移動や設置が容易です。しかし、コンプレッサーを使用するため、大電力を消費し、背面から熱風を排出するため、密閉された部屋で使用すると室温が上昇する可能性があります。冷える範囲は、冷風吐き出し口の正面の狭い範囲のみです。

排気ダクトを室外に出すためのオプションが用意されていますが、吸気ダクトを備えている製品は家庭用ではほとんどありません。そのため、排気ダクトのみを使用しても、部屋全体の冷却はできません。これは、窓用エアコンとの大きな違いであり、冷風機の欠点です。したがって、部屋全体の冷却を目的としない場所や、屋外での使用に適しています。また、熱源が多く、エアコンを使用すると過大な電力を消費する場所にも有効です。

冷風機は、本体のサイズに制限があるため、一般的なルームエアコンに比べて冷房能力が小さく、消費電力も少ないように見えますが、部屋全体の温度を下げることは難しいため、常に高出力で運転する必要があります。そのため、インバーター制御が採用されることは少なく、温度設定もできません。一方、エアコンは部屋の温度が下がると消費電力が大幅に低下するため、使用状況によっては、総合的な消費電力がエアコンよりも多くなる場合があります。

また、冷却時に発生するドレン水を本体のタンクに溜める必要があり、満水になると自動的に停止します。高級機種では、ドレン水を蒸発させて排気する機能が付いているものもありますが、吸気ダクトがない限り、冷風運転時は常に外気を取り込んでいるため、部屋全体の除湿はできません。

一部の機種では、熱い排気を布団乾燥に利用したり、セラミックヒーターを内蔵して冬場に暖房器具として使用できるものもあります。

冷風機は、設置工事が不要で、ガス抜けによる能力低下が起こりにくいという利点があります。エアコンと同様に、冷風取り入れ口にはフィルターがあり、定期的な掃除が必要です。また、熱風取り入れ口も定期的に清掃しないと、性能が低下する可能性があります。

冷風扇との見分け方

冷風機と冷風扇を見分けるには、以下の点に注目してください。

操作パネルに「除湿」の文字がある（除湿機能がない冷風扇にはない）。
水タンクがあるが、水の投入口がなく、タンクが容易に取り外せる（冷風扇は水を入れて使う）。
価格帯が異なる（冷風扇は数千円程度、冷風機は2万円以上）。
消費電力が大きい（冷風扇は数十W、冷風機は200〜700W）。
コンプレッサー音がする。
冷房能力または除湿能力の表記がある。
複数の通気口がある。

利用が効果的な場所

冷風機は、以下の場所での利用が効果的です。

厨房、食品工場など、熱気が強い場所。
部屋全体の冷却が不要な一人暮らしの住居。
ガレージなどでの作業時。
屋外での作業や販売。
駐車場などの管理人室や警備員詰め所。
一部の小型機では、壁穴枠式エアコンの枠に取り付けることができる。

ただし、冷風機は「吐き出し口正面しか涼しくならない」という点を理解した上で導入する必要があります。

冷風機の著名メーカー

シャープ
三洋電機
コロナ
トヨトミ
東芝
スイデン
ナカトミ
* ダイキン工業

冷風機は、設置場所や用途を考慮して選ぶことが重要です。

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