則武地所

株式会社則武地所とは

株式会社則武地所は、かつて存在した日本の住宅メーカーです。2000年7月に創業し、2011年12月に法人として改組されました。

事業概要

神奈川県の県央地区や東京都八王子市を主要な事業エリアとして、主に賃貸用木造共同住宅や一戸建住宅の建築を手掛けていました。特に、3階建て共同住宅を主力事業としており、1室当たりの建築単価を一般的な2階建て共同住宅よりも低く抑えることで、高い投資効率を実現し、受注を増やしていました。2015年4月期には6億5970万円だった売上高は、2017年4月期には20億5104万円にまで増加しました。

しかし、業界内では「コンプライアンス面での課題が散見される会社」と見られていたという声もありました。

業績悪化と事故

2019年4月期には売上が約14億1100万円にまで落ち込み、2020年4月期には9億7848万円まで減少。不動産部門の販売低迷に加え、関連業界での不正融資問題や施工不良問題などが影響し、業績が悪化しました。同時期には取引先の間で信用不安が広がり、資金繰りの悪化から複数の取引先に対する支払い遅延が発生。2020年には取引先から報酬未払いなどで訴訟を提起されるなど、経営状況は深刻化していきました。

2020年2月には、相模原市から廃棄物処理法に基づく措置命令を受けています。

八王子アパート鉄製階段崩落事故

2021年4月17日、則武地所が施工を担当した東京都八王子市にある3階建てアパートで、鉄製階段が崩落し、住民が死亡するという痛ましい事故が発生しました。

事故発生直後、則武地所は「4月29日から5月12日までGW及びコロナウイルス感染症拡大防止のため営業自粛」を発表しました。

警視庁の捜査により、事故の約2時間前に別の入居者から管理人に対し「階段の部品が落下している」との連絡があり、管理人が近くのホームセンターで木材を購入して補修を行っていたことが判明。さらに、同年4月24日には、当初の設計と異なる形で施工されていたことも明らかになりました。

この事故が引き金となり、多くの企業が則武地所との契約を解除しました。

同年5月2日、警視庁は業務上過失致死の疑いで則武地所の本社や社長宅などを家宅捜索しました。

破産とその後

相次ぐ契約解除などによる経営悪化を受け、則武地所は2021年5月13日に横浜地方裁判所相模原支部へ破産を申請しました。

朝日新聞と東京新聞が則武地所の代理人弁護士に行った取材によると、八王子の崩落事故と同様の劣化が他の57件の物件でも確認されたとのことです。国土交通省も、則武地所が施工した166件の物件について施工状況の調査を行っています。

元社員からは、「本来溶接すべき所を、仮止め状態にしていた」「溶接専門業者を呼ぶべきでは」「実質的経営者が自ら施工していた。防水加工をするよう忠告しても、実質的経営者は聞く耳を持たなかった」といった証言が出ています。

2021年5月19日、横浜地方裁判所相模原支部は則武地所に対し、破産手続開始決定を下しました。負債総額は約6億円。

当時の赤羽一嘉国土交通大臣は、この破産手続きに関して「法治国家の前提が崩れる」とコメントしています。

前代表取締役社長も、「今後の契約受注の見込みがなく、今後の経営が困難であることから破産申請へ至った」「警察への調査に協力する」とコメントを発表しました。

破産管財人は、神奈川県に対し建設業許可の廃止を申請。2021年6月28日、則武地所は神奈川県から建設業許可の廃止決定を受けました。

2022年4月18日、株式会社則武地所は法人格が消滅しました。

事業所

本社 - 神奈川県相模原市中央区相模原2丁目11番27号
大島工場 - 神奈川県相模原市緑区大島2781

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