勤務間インターバル

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定の休息時間を設けることを指します。この制度は、労働者が充実した生活時間や十分な睡眠を確保できるようにし、ワーク・ライフ・バランスを維持することを目的としています。特に残業によって遅くなった場合には、翌日の勤務開始時間を遅らせることが考えられ、労働者の健康を守るための重要な施策の一つとされています。

欧州連合の規制

欧州連合（EU）では、労働時間関連の指令において、労働者には24時間の間に連続して11時間の休息を与えることが求められています。この規制は、労働者の健康や生活の質を確保するために設けられたものであり、EUの加盟国においても遵守が求められています。

日本の取り組み

日本においては、平成30年に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の中で、勤務間インターバル制度の普及を促進する数値目標が初めて設定されました。具体的には、2020年までにこの制度を知らない企業の割合を20%未満、制度を導入している企業の割合を10%以上とすることが目指されました。

2021年4月に施行された改正法では、事業主が労働者の労働時間を改善するために、業務の終業から始業までの時間設定を適切に管理する責務が新たに規定されました。これにより、勤務間インターバルは事業主の努力義務と位置付けられました。

厚生労働省が発表した「令和5年就労条件総合調査」では、2023年1月1日現在の勤務間インターバル制度の導入状況が以下の通り報告されています。制度を導入している企業は6.0%、導入を予定または検討している企業は11.8%、導入する予定も検討もしていない企業は81.5%に上ります。特に導入を検討していない企業の理由としては、超過勤務が少なく、制度を導入する必要性を感じていないという回答が51.9%を占めました。

産業別の特例

自動車運送業においては、法律により運転者には8時間の勤務間インターバルが義務付けられており、各業界で異なる規制が存在します。

導入事例と支援制度

厚生労働省の資料によると、ユニ・チャームや本田技研工業、KDDIなど、早期に勤務間インターバル制度を導入している企業があります。通常、8時間から12時間のインターバルが設定されることが多く、緊急事態によってインターバルを守れない場合も想定され、例外的な取り扱いが設けられることもあります。

また、勤務間インターバル制度の導入を支援するための助成金制度も設けられており、中小企業を対象に、必要な取り組みに対する経費の一部が補助されています。

支給対象の要件

助成金の支給対象としては、労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業が含まれ、具体的には勤務間インターバルを導入していない事業場やすでに制度を導入しているが、労働者の半数以下が対象に所属する場合などです。

支給対象となる取り組みには、研修やコンサルティングの実施、労務管理用ソフトウェアや通信機器の導入などがあり、助成金の支給額は、対象経費の75%が一般的ですが、30名以下の労働者を雇用する企業が特定の取り組みを実施する場合には80%の補助が受けられることもあります。

まとめ

勤務間インターバル制度は、労働者の健康と福利を確保し、快適な職場環境を作るために不可欠な制度として、今後の普及が期待されています。政府や企業の取り組みを通じて、労働者がより良いワーク・ライフ・バランスを享受できるよう、さらなる普及促進が必要です。

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