千里山

千里山：歴史と文化が織りなす、緑豊かな住宅街

大阪府吹田市の中西部に位置する千里山は、地域名であり、かつての大字名でもあります。千里丘陵の南部にあたり、特に高級住宅街として知られています。

千里山の歴史：田園都市計画から現代へ

千里山の歴史は、明治22年（1889年）の町村制施行に遡ります。島下郡佐井寺村と片山村が合併して千里村が成立。村名は、佐井寺の北側にあった小丘「千里山」に由来します。その後、郡の統廃合を経て三島郡に所属し、大正9年（1920年）から昭和3年（1928年）にかけて、大規模な住宅開発が行われました。この開発は、大阪住宅経営株式会社によって進められ、当時としては画期的な大規模プロジェクトでした。人口増加に伴い、昭和6年（1931年）には大字佐井寺から大字千里山が分立。昭和15年（1940年）には吹田市に編入され、その後、数度にわたる大字改編や境界変更を経て、現在の9つの町名（千里山霧が丘、千里山高塚、千里山竹園1～2丁目、千里山月が丘、千里山西1～6丁目、千里山虹が丘、千里山東1～3丁目、千里山星が丘、千里山松が丘）が誕生しました。これらの町を合わせた人口は約2万9千人で、吹田市全人口の8.4%を占めます。

千里山住宅地：日本の田園都市の先駆け

千里山住宅地は、大正9年（1920年）から昭和3年（1928年）にかけて開発された、日本における初期の田園都市です。イギリスのレッチワースをモデルに、ロータリーを中心とした放射状の街路計画が採用され、当時としては先進的な水道、電気、ガス、下水道などのインフラ整備も進められました。

開発を主導したのは大阪住宅経営株式会社で、同社の設立者である山岡順太郎は、大阪商工会議所の会頭も務めた実業家でした。都市研究会の協力を得て、住宅地計画は具体化され、千里山駅周辺の千里丘陵の緩やかな傾斜地に、緑豊かな住宅街が誕生しました。

住民の交流を目的とした千里山会館も建設され、テニスコートなどのレクリエーション施設も整備されました。開発面積は約9万8300坪、宅地は743区画に及ぶ大規模なものでした。住宅の多くは20坪前後で、日本式と改良式の2種類が用意され、貸家も提供されました。

千里山の魅力：歴史と自然、そして文化

千里山は、近代的な都市計画によって生まれた歴史を持ちながら、緑豊かな自然も残されています。関西大学千里山キャンパスをはじめ、千里山会館、千里山・佐井寺図書館（愛称：ちさと図書館）、千里山神社、千里寺など、歴史的建造物や文化施設も多く点在しています。また、著名な人物も多く居住しており、その文化的・学術的な側面も豊かです。

現在では、周辺は市街地化が進みましたが、千里山住宅地は、樹木が多く残された、計画的な開発の跡を今も留めています。

千里山の地価

平成26年（2014年）1月1日公表の公示地価によると、千里山西5-31-7地点で23万7000円/m²、千里山松が丘12-24地点で20万8000円/m²と、高い地価を維持しています。

著名な出身者・居住者

千里山には、数多くの著名な人物が居住または出身しています。実業家、学者、芸術家など、幅広い分野で活躍した人々が、この地と関わりを持っていたことが、千里山の豊かな歴史と文化を象徴しています。例として、山岡順太郎、安藤百福、藤田田、筒井康隆、高村薫、吉野彰など、日本を代表する著名な人物が挙げられます。

まとめ

千里山は、歴史と自然、そして文化が調和した、魅力的な地域です。計画的な開発によって生まれた美しい街並み、そして緑豊かな環境は、多くの人々にとって、住みやすく、そして文化的な刺激に満ちた場所となっています。

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