協調性

協調性とは

協調性（きょうちょうせい、英: Agreeableness）とは、人に親切、同情的、協力的、暖かい、思いやりがあると認識される個人の行動特性に現れる性格特性のことです。現代の性格心理学では、性格特性の5つの次元の1つとされ、協力や社会の調和における個人差を反映しているとされています。

協調性のスコアが高い人は利他的であることが多く、一方、協調性のスコアが低い人は利己的な行動と関係が強い傾向があります。また、協調性のスコアが非常に低い人は、他者と競争するなどダークトライアドに見られる行動の兆候を示すことがあります。

協調性は上位特性であり、統計的にまとまった性格における下位特性をグループ化したものです。協調性の下にグループ化された下位レベルの特性、つまりファセット（側面因子）は、利他主義、協力性、謙虚さ、道徳性、共感性、信用性です。

歴史

協調性の概念の起源は、ゴードン・オールポートとヘンリー・S・オドバートの研究に遡ります。レイモンド・キャッテルは、オールポートとオドバートが特定した性格関連語のクラスター分析を発表し、16因子性格（16PF）を決定しました。キャッテルによって「独立性」と名付けられた普遍的因子は、現代の「協調性」の概念の初期の先駆けでした。

ビッグファイブ

性格の五因子モデルにおける協調性の度合いは、自己報告式の測定によって評価されます。語彙測定では、共感的、協力的、暖かい、思いやりがあるなど、協調・非協調の特性を反映する個々の形容詞を使用します。記述測定では、「私はほとんどすべての人と仲が良い」「私は他人の問題に関心がない」といったことの程度を回答者に尋ねます。

キャッテルの因子分析的アプローチは、普遍的な人格構造を特定するために用いられました。1960年代初頭から、「協調性」や「社交性」と呼ばれる因子が含まれることが多く、1980年代初頭、ルイス・ゴールドバーグの業績から、ビッグファイブという用語が使われるようになりました。協調性は、「友好的」「気立てが良い」「協力的」「信頼できる」「育成的」「社交的」「思いやりがある」といったパーソナリティ関連用語で定義されました。

ビッグファイブのファセット

協調性のファセットは次のようになっています。

NEO-PI

ポール・コスタとロバート・マクレイは、パーソナリティ評価の開発を研究し、NEO-PIを開発しました。NEO-PIでは、協調性に含まれる下位レベルのファセットは、信頼、率直、利他主義、追従、慎み深さ、優しさです。

HEXACOモデル

マイケル・アシュトンとキベオム・リーは、五因子モデルに第六因子を追加することを提案し、HEXACOモデルを開発しました。HEXACOモデルは、NEO-PIに類似した5つの因子に「正直さ-謙虚さ」の次元を追加しています。

対人関係

協調性は、他人とうまくやっていくことが必要な場面で力を発揮する性質です。協調性が高い人は他人をより肯定的にとらえる傾向があり、社会的拒絶を受けにくいです。また、対立状況において怒りのようなネガティブな感情をコントロールしやすいです。

向社会的行動

協調性の高い人は、どのような状況でも、他人を助けることに興味や関心を示す可能性が高いです。協調性が高い人は、人を助けるのに何らかの動機を必要としない「助けるための特質」を持っているように思われます。

幼少期から成人期まで

協調性は、精神的健康、ポジティブな感情、他者との良好な関係を予測し、心理的幸福にとって基本的に重要です。幼少期と青年期の両方において、協調性は外的問題と結びついています。また、葛藤管理能力、学校適応、仲間・社会的地位、自尊心などの結果にも関与しています。

地理

米国では、西部、中西部、南部の人々は、他の地域に住む人々よりも平均して協調性が高いスコアを持つ傾向がみられます。最も協調性の高い州トップ10は、ノースダコタ、ミネソタ、ミシシッピ、ユタ、ウィスコンシン、テネシー、ノースカロライナ、ジョージア、オクラホマ、ネブラスカでした。

中国と米国の大学生の研究では、最も協調性が高いと思われる人は、「笑顔」を浮かべていました。この研究結果は「協調性」という特性が、世界共通で人に帰属していることを示唆しています。

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