南砺市立福光美術館

南砺市立福光美術館：石崎光瑤と棟方志功の芸術世界

南砺市立福光美術館は、富山県南砺市法林寺に位置する公立美術館です。日本画家・石崎光瑤と版画家・棟方志功、そして彫刻家・松村秀太郎ら、福光町（現南砺市）ゆかりの芸術家たちの作品を数多く収蔵・展示しています。

美術館の設立と発展

美術館の起源は、福光町出身の石崎光瑤の遺族による450点を超える作品寄贈に遡ります。この寄贈を機に、1994年10月7日、「福光町立福光美術館」として開館しました。2004年の南砺市誕生に伴い、現在の名称に改称されました。

開館当初から石崎光瑤の作品が中心でしたが、第二次世界大戦末期に福光町へ疎開していた棟方志功の作品も多数収蔵。両巨匠の作品を核に、地元ゆかりの芸術家たちの作品を展示する美術館として発展を遂げてきました。

展示スペースの狭隘化に対応するため、2014年には増築工事が開始され、2015年6月に竣工。新常設展示室（355㎡）がオープンしました。この増築により、棟方志功と石崎光瑤それぞれの作品をより広く展示できるようになり、複数の大作を同時に鑑賞できるようになりました。従来の展示室は、松村秀太郎などの作品を展示するコレクション室として活用されています。

主要収蔵作品

美術館は、棟方志功の作品259点（2015年9月現在）、石崎光瑤の作品663点（2015年9月現在）を収蔵しています。棟方志功の作品は、『二菩薩釈迦十大弟子』、『文殊菩薩の柵 普賢菩薩の柵』、『四天雄飛の図』など、代表作を含む多様な作品群です。石崎光瑤の作品も、『松に孔雀図』、『燦雨』、『雪』など、その画業の軌跡を辿れる充実したコレクションとなっています。

さらに、彫刻家松村秀太郎の『捨て犬』、『少女立像』といった木彫作品や、漫画家富永一朗の作品70点以上も収蔵されています。富永一朗の作品は、かつて利賀村にあった「富永一朗とが漫画館」からの移管によるものです。

分館群：棟方志功の足跡

本館に加え、福光町市街地には棟方志功ゆかりの4つの分館があります。これらの分館は、本館から車で約5分の距離に位置しています。

棟方志功記念館 愛染苑: 1982年開館。棟方志功が福光町に滞在していた期間の作品を中心に展示。谷崎潤一郎の文学碑も敷地内にあります。
旧棟方志功住居 鯉雨画斎: 棟方志功が1946年から居住していた住居を移築保存。アトリエとして使われていた8畳間の板戸には、鯉や鯰、天女、菩薩などが描かれています。
民藝館 青花堂: 棟方志功と親交の深かった石崎俊彦が収集した美術品、陶芸品、民芸品を展示。
棟方志功資料館: 2016年開館。棟方志功の作品、書簡、関連資料などを展示し、その生涯と作品世界を深く理解できる施設です。

これらの分館は、棟方志功の生活空間や創作活動の様子を伝える貴重な資料館であり、本館と合わせて訪れることで、より深い理解を深めることができます。

施設概要とアクセス

本館は、常設展示室、企画展示室、コレクション室、図書室などを備えています。また、無料駐車場も完備されています。分館にも無料駐車場があります。

本館へのアクセスは、JR城端線福光駅から車で約5分、北陸自動車道小矢部ICから約10分、東海北陸自動車道福光ICから約15分です。公共交通機関では、加越能バス、JRバス、市営バスを利用できます（市営バスは土日祝日運休）。分館は福光駅から徒歩約15分です。

開館時間と観覧料

開館時間は午前9時から午後5時まで（入館は午後4時30分まで）、休館日は火曜日（祝日を除く）、祝日の翌日、年末年始です。本館の観覧料は一般300円、大学・高校生200円、中学生以下無料です。企画展は別料金となります。分館の拝観料も同様ですが、本館入館者は100円割引券が利用できます。

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