城端線

城端線：砺波平野を駆け抜けるローカル線の未来

富山県高岡市の高岡駅から南砺市の城端駅までを結ぶ城端線は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運営する地方交通線です。全長29.9kmの路線は、チューリップ畑が広がる砺波平野を縦断し、のどかな田園風景と集落の美しいコントラストを見せてくれます。

地域に根付く生活路線

城端線は、沿線住民の生活を支える重要な交通手段として機能しています。特に、沿線に多数存在する高等学校の生徒にとって、通学に欠かせない路線となっています。朝夕のラッシュ時には、多くの高校生が利用し、活気あふれる車内風景が見られます。

歴史と魅力

城端線は1897年、中越鉄道によって開業しました。その後、国有化を経て、現在のJR西日本へと引き継がれています。長い歴史の中で、蒸気機関車から気動車へと車両は変化し、運行形態も時代に合わせて進化を遂げてきました。

1980年には、「フラワーライン常花線」としてイメージアップを図り、各駅に特徴的な花や樹木が植えられました。近年では、漫画『忍者ハットリくん』のキャラクターをデザインした列車や、沿線自治体のマスコットキャラクターをデザインした列車など、地域との連携を深める様々な取り組みが行われています。また、2015年からは、観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール（愛称：べるもんた）」が運行され、多くの観光客を魅了しています。この列車は、氷見線と城端線を結び、沿線の魅力を再発見する機会を提供しています。

課題と未来

近年、城端線は利用者減少という課題に直面しています。この問題に対処するため、JR西日本は2010年に城端線の廃止やバス転換を検討していましたが、地元自治体との協議の結果、存続が決定されました。しかし、抜本的な対策が必要であることは変わりません。

そして2023年、画期的な転換期を迎えました。富山県や沿線自治体、JR西日本は、城端線と氷見線の経営を第三セクター鉄道のあいの風とやま鉄道に移管することで合意しました。この決定により、約342億円を投じた大規模な再構築計画が開始されます。計画では、新型車両の導入、運行本数の増発、ICOCAの導入拡大などが盛り込まれており、地域公共交通の活性化に大きく貢献することが期待されています。国土交通省もこの計画を認定し、2024年2月から段階的に事業移管が進められます。

運行形態と車両

城端線では、普通列車が1時間あたり1～2本程度の頻度で運行されています。高岡駅と城端駅を結ぶ全列車が普通列車で、全駅停車です。朝ラッシュ時の一部列車は、あいの風とやま鉄道線まで直通運転されています。車両は、キハ40形・キハ47形気動車が使用され、ワンマン運転が基本です。

かつては快速列車も運行されていましたが、現在は廃止されています。また、貨物列車は高岡駅―二塚駅間で運行されていましたが、2015年以降は運行本数が減少しました。2017年には、JR貨物の第二種鉄道事業免許も廃止されました。

未来への展望

あいの風とやま鉄道への移管と大規模な再構築計画により、城端線の未来は大きく変わろうとしています。新型車両の導入や運行ダイヤの改善によって、利用者の利便性向上と観光客誘致が期待されます。地域の活性化に貢献する重要な役割を担う城端線が、これからも砺波平野の美しい風景と共に発展していくことを願っています。

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