即興劇

即興劇とは

即興劇（Improvisational theatre）は、事前に用意された台本を用いず、その場で生まれるアイデアや状況に基づいて俳優が即興的に演じる演劇の形式です。「インプロヴィゼーション（improvisation）」、「インプロブ(improv)」、「インプロ(impro)」とも呼ばれます。

即興劇の形式

即興劇には、主に以下の３つの形式があります。

ショート・フォーム
関連性の薄い短いシーンを次々と展開する形式です。
シアタースポーツ：ゲーム形式を取り入れた即興劇
マエストロ：複数人で即興劇を行い、観客の評価で勝敗を決める形式
ゴリラシアター：ルールに基づいて即興劇を行う形式

ロング・フォーム
複数のシーンが互いに関連し合い、一つの物語を構成する形式です。
ハロルド：即興劇の形式の一つで、物語の展開に重点を置いた形式
リトルタウン：ある特定の町を舞台に、その町の人々の生活を即興で描く形式
スポークン：言葉をメインにした即興劇の形式

インプロ・ゲーム
決められたルールに基づき、明確なシーンを作り上げるパフォーマンスです。

即興劇の特徴

即興劇では、俳優はその場で会話や動きを創作します。そのため、予測不能な出来事が起こりやすく、自然と喜劇的な展開になることが多いです。しかし、感動的なシーンや芸術的な表現も可能です。即興は、俳優のトレーニングとしても有効で、発想力や文章構成能力の訓練に役立ちます。

即興の工程

即興劇を成功させるためには、以下の要素が重要です。

フォーカス（話の中心）
シーンの主題となるべきものを定めます。
協力
出演者同士が協力し、物語の性格や流れを定義します。
オファー（offer）
シーンを構成する行為で、セリフや動きで他のキャラクターに名前を与えたり、場所や関係性を明確にするなど、シーンに情報を追加していくことです。エンダーメント（endowment）とも呼ばれます。
受容（accept）
共演者のオファーを受け入れることが重要です。オファーを受け入れない行為をブロッキング（blocking）と呼び、シーンの進行を妨げる可能性があります。
イエス、アンド…（Yes, and...）
相手からのオファーを受け入れた上で、さらに自分のアイデアを追加することで、シーンをより早く構成することができます。即興劇の技術の要です。

即興劇では、観客との関係も重要です。演者は観客に提案を求め、観客を巻き込みます。また、即興であることを証明する役割も担います。

即興劇の中で、特に喜劇的なエンタテイメント性を重視したものを即興コメディと呼びます。

小道具と役柄

即興劇では、通常の演劇のように小道具を準備することができません。そのため、パントマイムの技術を用いて、手の形や動きで小道具を表現します。また、即興役者は、様々な役柄を演じ分けるために、瞬時にキャラクターの物理的特性、仕草、言葉遣いなどを切り替える必要があります。

役の行動目的は、シーンを成功させる上で非常に重要です。即興役者は、その役が何をしたいのかを感じ取りながら演じなければなりません。

即興の応用

即興劇の技術は、通常の演劇のクラスでも教えられています。聴く力、表現力、自信、瞬発力など、即興を通して得られるスキルは、役者にとって不可欠なものです。

多くの劇団が即興パフォーマンスを公演しており、キース・ジョンストンが作った「シアタースポーツ」は特に有名です。また、ヴァイオラ・スポーリンとポール・シルズが設立したシカゴの劇団「セカンド・シティ」も、即興劇の発展に大きな影響を与えました。

日本国内での動き

近年、日本では企業研修や大学の授業、子供の教育にも即興劇が用いられることが増えています。また、i-1グランプリのような即興劇の大会や、即興劇を専門とする劇団も存在します。

関連項目

コメディア・デッラルテ
即興
アドリブ
警視-K
鶴瓶のスジナシ!
友達がやってるカフェ

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