警視-K

概要

『警視-K』は、勝新太郎が監督および主演を務めた日本の刑事ドラマで、1980年10月から12月にかけて日本テレビで放映されました。全13話からなるこのドラマは、毎週火曜日の21時から21時54分までの枠で放送され、主題歌と音楽は著名なアーティスト、山下達郎が担当しました。

この作品は、勝が演じる賀津勝利（通称「ガッツ」）というキャラクターを中心に展開されます。警視庁今宿署の捜査一課で働くハミ出し刑事の姿を描いており、自由を愛しながらも独自の正義感を持ち犯罪に立ち向かう姿は、多くの視聴者に印象を残しました。

特記すべきは、勝の実子である奥村真粧美が賀津の娘役としてレギュラー出演していることです。また、勝の妻である中村玉緒が賀津の元妻役で登場するという、家庭が絡んだ話題性も感じられました。さらには、緒形拳や原田芳雄、ジュディ・オングといった豪華なキャストもゲストとして出演し、ドラマに厚みを加えました。

放送と視聴率

しかしながら、本作は視聴率面では厳しい結果となりました。平均視聴率はわずか5.4%という、ゴールデン枠としては非常に低い数値となってしまいました。日テレは当初、全26話での放送を計画していましたが、制作体制の問題や予算の超過が影響し、13話で打ち切りとなりました。勝のワンマン体制が影響し、撮影スケジュールも厳しくなってしまったのです。

ユニークな制作スタイル

このドラマの大きな特徴の一つは、脚本のほとんどがアドリブで作られている点です。勝はリアリティを重視し、ストーリーの骨組みだけを残した状態で、出演者たちのやり取りはほぼ即興で進められました。そのため、音声は撮影と同時に録音され、場合によっては周囲のノイズと混ざり聞き取りづらい箇所も多く見受けられました。このような試みは当時は受け入れられず、放送開始直後から「台詞が聞こえない」といった抗議が相次ぎ、視聴者からの不満が高まりました。

再評価と現在の視聴環境

一見厳しい評価を受けた『警視-K』ですが、後に再評価が進み、勝の死後の1998年にはVHSが発売され、2014年にはDVDボックスも発売されました。また、視聴者の間での再評価を受けて、特集記事もいくつか掲載されるようになり、その構成は「日本のヌーヴェルヴァーグ」と称されることもあります。

2021年現在、Amazon Prime Videoでは、勝プロダクションが制作した他の作品とも一緒に視聴できるようになっています。『走れ!熱血刑事』や『あいつと俺』といった同時期のドラマも合わせて楽しむことができ、多くの人に親しまれています。

スタッフとキャスト

企画には勝新太郎を初めとする多くのスタッフが関わっており、音楽は山下達郎が手掛けていることからも、多くのクリエイターの情熱が感じられる作品となっています。主要キャストには賀津勝利役の勝新太郎をはじめ、奥村真粧美、川谷拓三などが名を連ねており、彼らの演技も作品を彩る大きな要素となっています。

このように、『警視-K』はその独特な制作スタイルと、役者たちのリアルな演技が視聴者の記憶に残る作品となっており、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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