原尞

原尞（はら りょう）について

原尞は1946年12月18日に鳥栖市で生まれ、本名は原孝といいます。推理作家として広く知られ、特に私立探偵・沢崎を主人公としたハードボイルド小説で人気を博しました。彼の著作は、多くの読者に支持され、1989年には直木賞を受賞するなど、その名声を確立しました。

経歴

原は福岡県立福岡高等学校を卒業した後、九州大学の文学部に進みました。在学中には、同級生の中村哲と共に学び、様々な経験を積みました。大学卒業後の1969年、彼は上京し、新たに立ち上がったCBS・ソニーに入社しますが、2か月後には退社し、その後フリージャズピアニストとしての活動を開始しました。この時期に、高木元輝や阿部薫と共演するなど、多くのミュージシャンと出会い、音楽活動に情熱を注ぎました。

1971年には日本幻野祭にて、高木元輝トリオのメンバーとして演奏を行い、その演奏はレコードとしても発売されました。一方で、作家としての道も切り開いていきます。1977年頃には作家デビューに向けて執筆を開始し、数年後には私立探偵小説の執筆を決意します。

1988年、彼のデビュー作『そして夜は甦る』が発表されます。この作品は中年私立探偵・沢崎の物語で、多くの読者を魅了しました。翌年には第2作『私が殺した少女』を発表し、この作品で直木賞を受賞。原の作品は、レイモンド・チャンドラーの影響を受けており、特に沢崎というキャラクターはその影響を色濃く受けています。

受賞歴

原の作品は数多くの文学賞にノミネートされ、受賞も果たしています。1989年には『そして夜は甦る』で山本周五郎賞にノミネートされ、同年の『私が殺した少女』では直木賞を受賞。また、『天使たちの探偵』で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞するなど、多彩な受賞歴があります。

作品

彼の作品は、ハードボイルド小説の枠を超えて多くのジャンルに及びます。長編小説には、デビュー作の『そして夜は甦る』や『私が殺した少女』などがあり、短編集では『天使たちの探偵』が挙げられます。原の作品は、独自の文体と魅力的なキャラクターによって、常に高い評価を受けています。

特に彼の作品は、日本のミステリ文学界において重要な存在とされており、ミステリランキングでも高評価を得ています。『私が殺した少女』はその年のミステリーランキングで1位に輝き、その後も多くの作品が評価され続けました。

最後の日々

原尞は2023年5月4日、福岡県の病院で病気により逝去しました。享年76歳で、彼の残した作品と影響は多くの読者と作家に引き継がれています。原尞の作品はこれからも、推理小説の愛好者にとっての宝物として読み継がれていくことでしょう。

もう一度検索