友釣り

友釣り（ともづり）

友釣りとは、日本特有のアユ釣りの技法であり、アユの縄張り行動を利用する釣り方です。この技法では、釣り人が用意したオトリ（囮）アユを捕まえたい野アユの縄張りに送り込み、そのオトリを攻撃させることで、野アユを釣り上げることを目的としています。

概要

友釣りでは、野アユが縄張りを作る場所にオトリアユを進入させ、野アユがオトリに体当たりをしてくるところを狙い、釣り針にかける方法が取られます。オトリアユは鼻環をつけられ、その先に掛針が装着されています。この仕掛けによって、野アユがオトリを追い払おうとする際に引っかかるのです。特に、アユが好む石の周りや餌となる藻類のある場所が縄張りとなることが多く、アユの行動を観察することで釣果を上げることが可能です。

友釣りを行うスポットは、釣り人にとって人気のエリアとなることが多く、「アユ釣り銀座」と呼ばれることもあります。ここでは、漁業協同組合などが主催する友釣り大会も開催され、多くの釣り人が集まります。

漁法とルール

友釣りを行う際には、漁業権のある川で釣りをするため、入漁証が必要です。この証明書は、釣りを行うための許可を得るために必須となります。オトリ用のアユは、釣具店で購入すると始まるため、オトリの確保も重要なポイントです。また、アユはオトリに似せたルアーも攻撃するため、若年層向けにルアー釣りができるエリアを設ける漁協も増えています。

日本では、若アユが縄張りを持つ5月下旬から、産卵のために縄張りを解く11月頃までが友釣りの季節となっています。一般に6月から始まり、7月から8月にかけて最盛期を迎えます。9月から10月には産卵のために河口付近に移動する雌アユが見られますが、これを「落ちアユ」と呼びます。

仕掛けと道具

オトリアユと釣糸をつなぐために、ハナカンと呼ばれる小型の器具をアユの鼻に装着します。このハナカンには、引っかけ用の掛針と安定させるための逆針が結ばれます。掛針はアユの尾ビレの1.5cm程度後方に設定し、野アユが弱い尾ビレ付近を狙って体当たりしてくるように仕掛けます。

道具は進化し、友釣り専用の軽量化されたカーボンファイバー製の釣り竿が主流です。長さは8.0mから10.0m、重さは300g未満のものが好まれ、また更に軽量なチタン製の穂先も使われています。竿は高価なものが多く、価格は数万円から数十万円に及びます。

技術的な要素

友釣りの技術には、「川読み」が重要です。アユの縄張りを見極め、食事のために石を削いだ痕跡を確認し、釣れる場所を推測するのが釣果を上げるポイントです。また、アユの行動様式に加え、周囲の釣り人の動向にも目を配り、釣り場を選定することも技術の一部です。

オトリの取り扱いも重要で、オトリを弱らせない技術が求められます。鼻環をすばやく通すなど、細やかな注意が必要です。また、操作方法として、オトリを引っ張って縄張りに導く「引き釣り」と、自然な泳がせをする「泳がせ釣り」があります。

問題点と発祥

現代では、放流された稚アユや水環境の変化によって、縄張りを持たないアユが増えてきた問題が議論されています。これには様々な原因が考えられていますが、特定の解決策は見つかっていません。

友釣りの発祥については、未だ明確な記録は残っていませんが、静岡県の狩野川や京都の八瀬川説などがあります。1979年には大西満が友釣りに関する体系的な著作を出版し、彼の研究によって多くの釣り人に広まりました。

友釣りはアユ釣りの技法として発展しましたが、他の魚種への応用に関しても可能性があります。例えば、ボウズハゼなどの魚がアユと同様に縄張り行動を見せることもあり、友釣りの手法が活かされています。

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