双葉地方広域市町村圏組合

双葉地方広域市町村圏組合：被災地復興を支える広域行政機関

福島県双葉郡に位置する双葉地方広域市町村圏組合は、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村の6町2村によって設立された一部事務組合です。2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による甚大な被害を受けながらも、被災地の復興に重要な役割を果たしています。

組合の業務

組合は、住民生活の維持・向上に不可欠な広範囲な業務を担っています。主な業務内容は以下の通りです。

防災・消防: 消防業務（消防団を除く）を管轄し、住民の生命と財産を守るために尽力しています。これは特に、原発事故後の厳しい状況下において重要な役割となっています。
廃棄物処理: 一般廃棄物やし尿の処理を行い、衛生的な環境の維持に貢献しています。被災地においては、廃棄物処理は特に重要な課題であり、組合は効率的な処理システムの維持・運営に努めています。
斎場運営: 斎場の運営管理を行い、住民の弔いの場を提供しています。震災による犠牲者の弔いも重要な役割の一つとなっています。
地域計画: 双葉地方の地域振興計画の策定と総合調整を行います。これは、復興計画の中核を担う重要な業務です。
汚泥焼却施設: 共同汚泥焼却施設の設置と管理運営を行い、環境保全に貢献しています。（川内村、葛尾村を除く）
准看護学院: 公立双葉准看護学院の運営を通して、地域医療の担い手を育成しています。震災により一時休校となりましたが、現在は南相馬市に仮校舎を建設し、授業を再開しています。
* その他: 地域振興事業、救急医療対策事業、介護認定審査会・障害程度区分認定審査会の運営、地域自立支援協議会の運営、双葉郡立診療所の設置・管理など、幅広い業務を担っています。

組合の組織

組合は、組合議会、執行機関、監査委員から構成されています。組合議会は25人の議員で構成され、執行機関は管理者1名、副管理者7名、会計管理者1名からなります。監査委員は2名で、組合議会議員と専門家から選任されます。

組合の施設

組合は、し尿処理施設、ごみ処理施設（南部衛生センター、北部衛生センター）、消防本部、准看護学院、下水処理施設（汚泥リサイクルセンター）、斎場（聖香苑）など、多くの施設を運営しています。これらの施設は、震災と原発事故の影響を受け、一時的に機能停止や移転を余儀なくされた施設もありましたが、現在では多くの施設が復興し、業務を再開しています。

消防本部

双葉地方広域市町村圏組合消防本部は、組合管内の消防業務を担っています。震災と原発事故により、消防本部庁舎は使用できなくなり、仮設庁舎で業務を継続してきました。2023年2月には、富岡町に新庁舎を建設し、2026年度末までに移転する計画が承認されました。

消防本部は、広大な管内面積（872.65km²）をカバーするために、消防署2カ所、分署1カ所、出張所2カ所を配置し、多数の消防車両を保有しています。職員数は115名にのぼり、住民の安全を守るために日々活動しています。

組合の歴史

双葉地方広域市町村圏組合は、1972年に設立されました。以来、地域住民の安全と生活を守るため、様々な取り組みを行ってきました。特に、東日本大震災と原発事故後は、被災地の復興に全力を注ぎ、困難な状況の中でも、住民生活の維持に貢献しています。

東日本大震災と原発事故からの復興

東日本大震災と原発事故は、組合の活動に大きな影響を与えました。多くの施設が被災し、職員も避難を余儀なくされました。しかし、組合は、仮設施設の設置や業務の移転など、迅速な対応を行い、住民へのサービスを維持することに成功しました。現在では、復興事業の進展に伴い、施設の再整備が進められ、元の機能を取り戻しつつあります。

双葉地方広域市町村圏組合は、今後も被災地の復興と地域住民の生活を守るため、重要な役割を果たし続けるでしょう。

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