吉川経家

吉川経家の生涯と鳥取城籠城戦

吉川経家（きっかわ つねいえ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、毛利氏の有力な家臣として知られています。彼はまた、石見吉川氏の当主としても知られ、父である吉川経安の嫡男として1547年に生まれました。

幼少期からの影響

経家は、毛利氏が石見国を支配する中で育ち、家庭環境からは戦国時代の武士としての教育を受けていました。1560年に元服し、翌年には尼子氏に寝返った国人の武将、福屋隆兼の襲撃に対して、父とともに居城を守る戦いに身を投じました。この若き日の経験が後の彼の戦略や武士としての毅然とした態度を育むことになるのです。

鳥取城籠城戦の前兆

1581年、織田信長の命で羽柴秀吉が中国地方に侵攻を開始する中、毛利氏の配下である鳥取城主・山名豊国が降伏の動きに出ます。これを受け、吉川元春は経家に鳥取城の守備を任命します。経家の決意は非常に強く、戦いに臨む準備をし始めるのでした。

陣を張る経家

経家が鳥取城に入城した際、城には約4,000人の兵が集結していました。しかし、兵糧の供給が乏しく、平時の備蓄はわずか3か月分。これは、秀吉の策略によって、周辺の米が全て高値で買い占められた結果でした。経家は急いで防備を固めるものの、状況は厳しいものでした。

包囲と緊迫の3ヶ月

6月、羽柴秀吉の大軍が鳥取城を包囲します。彼は巧妙な戦術を駆使し、兵糧の供給路を絶ってしまいます。城内では食糧不足が深刻化し、3ヶ月目には兵士たちの間で餓死者が続出する事態に直面することになります。経家はこの過酷な状況に対して、最後の降伏を決意せざるを得なくなります。

知恵と信義の選択

10月、経家は森下道誉や中村春続と相談し、降伏する際に城兵の命を守る条件を設定しました。秀吉は経家の抵抗を高く評価し、彼自身の自害を求めました。経家はそれに従う形で自らの命を絶つことを決意し、武士としての栄誉を全うします。

自害の瞬間

10月25日、経家は家臣とともに別れの盃を交わし、切腹を行う瞬間には「うちうち稽古もできなかったから、無調法な切りようになろう」と述べ、介錯役の家臣が立ち会いました。彼の最後の言葉や行動には、武士としての意地と誇りが溢れています。経家の切腹の後、彼の首は秀吉の元へ運ばれ、秀吉は涙を流したと言います。

歴史の中での評価

経家は後にその名誉を伝説として残され、彼の墓所は一時城内に設けられましたが、後に移転されました。今でも彼の銅像が鳥取城正面入口に立っており、彼の勇敢な戦いを後世に伝えています。彼の遺書なども文献として残っており、その内容は武士の誇りや家族への思いを強く伝えています。

吉川経家の人生は、戦国時代の厳しさと武士道精神を如実に表しており、今なお多くの歴史ファンに語り継がれています。

もう一度検索