名越康文

名越 康文 ～精神科医＆映画評論家の歩み～

名越康文（なこしやすふみ）は、1960年6月21日生まれの日本の精神科医、映画評論家です。彼の専門分野は思春期精神医学と精神療法であり、高野山大学や相愛大学の客員教授を務めています。名越氏は妻、金子奈緒と共に生活しています。

来歴

名越は奈良県大和高田市で育ちました。彼の両親は薬剤師で、母親は6代続く医者の家系の出身ですが、当時の女医への偏見から医者の道を諦めました。父親も医学部を志望していましたが、浪人を許されず薬学部に進学しました。こうした家庭環境の影響で、名越は幼少期から「医者になる運命にある」と言われ続けました。

彼は中学受験で東大寺学園を志望しながらも不合格となり、大阪星光学院に進学します。しかし、中学校1年生の頃から原因不明の発熱に見舞われ、40日ほど寝込むことになります。この経験から同級生からのいじめを受け、勉強についていくことが難しくなり、成績も振るわない日々が続きました。名越はその影響で中学・高校生活を苦痛に感じ、「時には学校が燃えていることを祈っていた」と回想しています。

その後、医学部に進学し、医師になるという道を歩みましたが、医師としての将来に対する明確なビジョンを持てず、内科医を目指すものの、医療への興味を疑い始めます。大学3年生と5年生のときに留年を経験し、自身のうつ状態を振り返ることもあります。

留年中、友人に誘われてアドラー心理学のカウンセリングの見学に訪れ、そこで精神科医という職業に触れ、心の支えを見出します。彼は、笑顔になった女の子の姿を見て、自らも精神科医になることを決意しました。以降、大阪大学の精神科医局に籍を置き、大阪府立中宮病院の精神科緊急救急病棟を設立します。この場所で責任者を務めた後、1999年に退職し、臨床活動を続けながらメディアにも幅広く関わりました。

人物背景

名越の人生には、死というテーマが常に存在しています。小学校4年生の頃に見た『海底大戦争』による強烈な恐怖感が、その後の思索の根源となりました。医学生時代は、手術で助かってもいつかは死ぬという虚無感に悩まされ、医療業界の基本理念にはなじめなかったといいます。大学時代にはミュージシャンを志し、ジャズボーカルを学んだ他、哲学者・バグワン・シュリ・ラジニーシの教えにも影響を受け、自身の成長に結びつけました。

また、青春時代は極真空手にも取り組んでおり、『空手バカ一代』に憧れる青春を送りました。

著書・メディア活動

名越は多くの著書を手がけており、例えば「スプリット・存在をめぐるまなざし」や「どうせ死ぬのになぜ生きるのか」といった作品は彼の思想を反映しています。また、テレビ番組やラジオ番組のコメンテーターとしても活躍し、映画評論や漫画分析、ゲーム実況など多岐にわたるメディアで活動しています。また、彼の社会的な発言は多くの人に影響を与えています。名越康文は、精神科医としてだけでなく、知識を広める評論家としても知られ、その多面的な活動が評価されています。

もう一度検索