国狭槌尊

国狭槌尊（くにさつちのみこと）

国狭槌尊は、日本神話に登場する神であり、『日本書紀』の天地開闢の段に主に記述が見られます。神世七代の一柱として、国産みの神々の一員です。別名として、国狭立尊（くにのさたちのみこと）とも呼ばれています。

概要

『日本書紀』における天地開闢の記述では、国常立尊の次に登場する神として描かれています。この二柱の神の後に、豊斟渟尊が生まれたとされており、これら三柱は全て男神であるとされています。

一方、『古事記』には、国狭槌尊という神名は見られません。ただし、大山津見神の子として天之狭土神と国之狭土神という神々が登場しますが、これらの神々が国狭槌尊と同一神であるという確証はありません。

神名の「サツチ」は、「サ」が神聖な稲、「ツチ」が土を意味すると考えられており、神稲を植えるための土を司る神であるという解釈がされています。

神話での記述

『日本書紀』の本文によると、天地が開闢した後、最初に国常立尊が現れ、次いで国狭槌尊が登場します。その後、豊斟渟尊が化生したとされています。また、第一、第二、第四の一書においても、国常立尊の次に国狭槌尊が現れると記述されています。しかし、他の一書には、国狭槌尊と同一と見られる神名は登場しません。興味深いことに、『日本書紀』において、国狭槌尊は天地開闢の記述以降、神話に登場することはありません。

国狭槌尊の役割

国狭槌尊は、天地開闢という重要な場面に登場する神であり、その名前が示すように、国土の形成に深く関わっていると考えられます。神話における登場場面は限られていますが、国産みの神々の一柱として、日本神話において重要な役割を担っています。

考察

『古事記』に国狭槌尊が登場しない理由は明確ではありませんが、異なる神話伝承が存在した可能性を示唆しています。また、神名の解釈から、農耕における土の重要性を示す神であるとも考えられます。国狭槌尊は、日本神話の根源的な部分に関わる神として、その存在意義は大きいと言えるでしょう。

関連事項

天地開闢：日本神話における世界の始まり。
神世七代：天地開闢後に現れた七代の神々。
日本の神の一覧：日本神話に登場する神々をまとめたもの。
饒速日：近畿地方に稲作を伝えたとされる神。

これらの関連事項を考慮することで、国狭槌尊がより深く理解できるでしょう。

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