国際地理オリンピック

国際地理オリンピックとは

国際地理オリンピック（International Geography Olympiad, iGeo）は、世界各国から高校生が集まり、地理に関する知識や能力を競う国際的な大会です。国際地理学連合（IGU）が主催し、毎年開催されています（2012年までは隔年開催）。この大会は、国際科学オリンピックの一つとして位置づけられています。

各国は3～4名の選手団を編成し、知識、マルチメディア、フィールドワークの3種類の試験に挑みます。試験はすべて英語で行われ、参加者は地理に関する深い知識だけでなく、論理的な思考力や英語での表現力も求められます。

なお、ナショナルジオグラフィック協会が主催する「National Geographic World Championship」も「地理オリンピック」と呼ばれることがありますが、こちらは中学生を対象とした大会です。

歴史

国際地理オリンピックのルーツは、1965年にエストニアの大学生有志が始めた「環バルト地理競技会」に遡ります。この競技会が発展し、1994年の国際地理学連合（IGU）総会で、ポーランドとオランダの委員が「国際地理オリンピック」として開催することを提案しました。第1回大会は1996年にオランダで開催され、その後、IGU総会に合わせて2年ごとに開催されてきました。

2012年までは2年に1回の開催でしたが、国内選手権を毎年開催する国が増えたため、世界大会の合間にヨーロッパとアジア太平洋地域で「地域地理オリンピック」が開催されるようになりました。

アジア太平洋地域では、2007年に台湾で第1回大会が開催され、2009年には筑波大学で第2回大会が開催されました。ヨーロッパでは、2003年から「中央ヨーロッパ地域大会」が開催され、2009年にはポーランドで第4回大会が開催されました。

大会の特徴

• - 3種類の試験: 知識試験、マルチメディア試験（写真や映像を見て解答）、フィールドワーク試験（実際に街を歩き、課題を解決）の3つで構成されます。
• - 英語での試験: 試験はすべて英語で出題され、解答も英語で行う必要があります。論理的な文章構成が重視されます。
• - 国際交流: 大会期間中は、選手同士の交流も盛んに行われ、国際的な友情を深めることができます。
• - メダル制度: 得点に応じて金メダル、銀メダル、銅メダルが授与され、国別の総合成績も発表されます。

参加国

2021年の世界大会では、多くの国と地域から選手が参加しました。特に東欧のポーランドとルーマニアが強豪として知られています。

会場

国際地理オリンピックは、世界各地で開催されています。2009年には、筑波大学で地域大会が開催され、日本の景観を活かしたフィールドワークテストが行われました。2010年には台湾、2013年には京都で世界大会が開催されました。

日本の国内予選

日本代表は、以下の3段階の選抜を経て決定します。

1. 第1次選抜: オンラインで実施。
2. 第2次選抜: 記述式テスト。第1次選抜の上位約100名が対象。
3. 第3次選抜: フィールドワークエクササイズとグループディスカッション。第2次選抜の上位約10名（金メダル）が対象。

日本代表は、6月末時点で16～19歳の大学に進学していない者から選ばれるため、第3次選抜は高校2年生以下から選ばれます。

日本代表の成績

日本は2000年に初参加しましたが、その後しばらく参加が途絶えていました。2007年に国際地理オリンピック日本委員会が結成され、再び大会に参加するようになりました。

2008年の大会では、後藤圭佑選手が初の金メダルを獲得しました。その後も、銀メダルや銅メダルを獲得する選手が現れており、2021年のイスタンブール大会では、金メダル2つ、銀メダル1つ、銅メダル1つを獲得し、国別ランキングでも3位になりました。

日本人金メダリスト

• - 後藤圭佑（筑波大学附属駒場高校）：2008年
• - 乙川文隆（新潟県立新潟高等学校）：2021年
• - 中森遼（灘高等学校）：2021年

まとめ

国際地理オリンピックは、地理を愛する高校生にとって、世界中の仲間と交流し、自身の能力を試す絶好の機会です。日本からも多くの選手が参加し、素晴らしい成績を収めています。今後の活躍にも期待が高まります。

外部リンク

• - 国際地理オリンピック日本委員会
• - 国際地理オリンピック公式ホームページ（英語）
• - 2008年国際地理オリンピック報告（太田 弘）
• - 国際地理オリンピックアジア・太平洋大会（英語）（中国語）
• - National Geographic Bee and World championship

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