塩化物

塩化物について

塩化物（えんかぶつ）は、塩素原子がより陽性な元素または原子団と結びついて形成される化合物です。塩素（Cl₂）は、第18族の元素を除くほとんどの元素と反応し、塩化物という化合物を生成します。この塩化物の中で特に重要なのは、塩素がイオン結合を形成した場合に、塩素の陰イオン（Cl⁻）が解放されることです。この陰イオンは「塩化物イオン」と呼ばれ、または「塩素イオン」としても知られていますが、現在では後者の呼称は推奨されていません。化合物の命名時には、塩化（えんか、英: chloride）という用語が使用され、これも塩素を指しています。

無機塩化物

無機塩化物には、金属塩化物が含まれます。一般的に、金属塩化物はイオン結合性が高く、水中では塩化物イオンと金属イオンに電離します。このため、大半の金属塩化物は水に対して非常に溶解性が高いです。ただし、1価の銀、銅、金、水[[銀]]、タリウムの塩化物や、2価の鉛、白[[金]]の塩化物は、水に対しては難溶性を示します。

さらに、高い酸化数を持つ遷移金属や非金属元素の塩化物は、共有結合性がプレドミナントで、これらは気体や揮発性の高い固体、液体として存在します。これらの塩化物は、水に溶けると加水分解を起こし、オキソ酸や塩酸を生成します。また、イオン結合性が強い金属塩化物に濃硫酸のような不揮発性の物質を加えた場合、塩化水素がガスとして放出されます。

さらに、アンモニウムや第四級アンモニウムといった有機物と塩化物イオンによって形成される塩、またはアミンなどの塩基性有機化合物から塩酸によって形成される塩（塩酸塩）も存在します。

有機塩化物

有機塩化物では、sp³炭素に結合した塩化物は安定な共有結合化合物を生成します。このような低分子の炭素塩化物は高い揮発性を持ち、過去には広く溶媒として利用されていました。

化合物の命名法においては、有機塩化物に含まれるCl⁻は一価の官能基として扱われ、「クロロ基」（英: chloro group）と呼ばれます。また、いくつかの有機反応において、クロロ基は脱離基として作用することがあります。例えば、sp³炭素またはsp²炭素に置換したクロロ基は脱離しやすく、こうした有機塩化物は脱離反応の基質として有用です。ウィリアムソン合成などの求核置換反応でも、sp³炭素上のクロロ基が活躍します。

関連項目

• - 有機塩素化合物
• - 塩素
• - 塩酸
• - フッ化物
• - 臭化物
• - ヨウ化物

また、塩化物に関連する分野では多くの化合物が存在し、これらは多様な用途を持っています。化学や生物学の研究、さらには産業においても重要な役割を果たしています。特に、無機および有機の塩化物は、多くの化学反応において基盤となり、特定の物質の合成や反応の際に不可欠です。

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