夜明けのすべて

夜明けのすべて：心の病と向き合う、2人の物語

瀬尾まいこによる小説『夜明けのすべて』は、2020年10月22日に水鈴社より刊行され、2024年には映画化もされた感動作です。小説には、著者自身の経験も一部反映されており、ゆっくりと時間をかけて執筆されたことがうかがえます。

ストーリー：

物語の中心となるのは、ホームセンター「栗田金属」で働く2人の社員、美紗と山添です。美紗は、毎月訪れるPMS（月経前症候群）の影響で、怒りっぽくなってしまうことに悩んでいました。一方の山添は、大手コンサルタント会社からの転職後、パニック障害を発症し、生きる希望を失いかけています。

周囲の理解を得ながらも、PMSによる感情の揺れに苦しむ美紗は、やる気のない山添に八つ当たりをしてしまいます。しかし、互いに恋愛感情や友情を抱いているわけではありませんでしたが、次第に2人は、互いの心の病を癒せるのではないか、助け合えるのではないかと思い始めるのです。

登場人物：

美紗： 栗田金属の社員。PMSに悩まされながらも、仕事に励んでいます。
山添： 栗田金属の社員。パニック障害を抱え、苦しんでいます。
栗田： 栗田金属の社長。
平西、鈴木、住川： 栗田金属の社員たち。それぞれ個性豊かなキャラクターです。

映画版：

映画版『夜明けのすべて』は、2024年2月9日に公開されました。監督は三宅唱、主演は松村北斗と上白石萌音。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』以来の共演となる2人は、繊細な演技で、美紗と山添の心の葛藤を丁寧に表現しています。小説とは異なる設定も一部取り入れられており、栗田金属は「栗田科学」というプラネタリウムや顕微鏡のキットを作る会社に変更されています。

キャスト：

山添孝俊：松村北斗
藤沢美紗：上白石萌音
その他：渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、りょう、光石研 ほか豪華キャスト

スタッフ：

原作：瀬尾まいこ
監督：三宅唱
脚本：和田清人、三宅唱
音楽：Hi'Spec

受賞歴：

映画版『夜明けのすべて』は、数々の映画賞を受賞・ノミネートされています。

第14回北京国際映画祭 コンペティション部門・最優秀芸術貢献賞
第16回TAMA映画賞 最優秀作品賞、最優秀女優賞（上白石萌音）、最優秀新進男優賞（松村北斗）
第49回 報知映画賞 作品賞・邦画（読者投票1位）、監督賞（三宅唱、読者投票1位）、主演男優賞（松村北斗、読者投票1位）、主演女優賞（上白石萌音、読者投票1位）、助演男優賞（光石研）、助演女優賞（藤間爽子）
第46回ヨコハマ映画祭 作品賞
日本映画ベストテン 第1位

また、ベルリン国際映画祭、香港国際映画祭、全州国際映画祭など、多くの国際映画祭にも出品されています。

まとめ：

『夜明けのすべて』は、繊細な描写と、心の病と向き合う2人の姿が丁寧に描かれた、感動的な作品です。小説と映画、どちらからも、現代社会における心の健康や、人間関係の大切さを改めて考えさせられるでしょう。映画はまだご覧になっていない方は、ぜひ劇場でご覧ください。

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