大久保浄水場

埼玉県を支える生命線：大久保浄水場

埼玉県さいたま市桜区宿にある大久保浄水場は、埼玉県企業局が管理運営する県営浄水場です。その規模は国内最大級を誇り、埼玉県南中央地域と県西部地域に広がる15市1町、およそ380万人に安全な水を供給する重要な役割を担っています。

設立の背景：高度経済成長と人口増加

高度経済成長期、埼玉県南部の人口は急激に増加しました。この急増する水需要に対応するため、新たな浄水場の建設が喫緊の課題となりました。建設地選定においては、水源である荒川への近接性と、十分な土地の確保可能性が重要な要素となりました。これらの条件を満たす場所として、当時まだ浦和市の郊外であった大久保地区が選ばれ、浄水場の建設が始まりました。

施設の拡張と発展：県西地域への供給開始

当初は埼玉県南部への供給を目的として建設された大久保浄水場ですが、その後、水源の逼迫が問題となっていた県西地域への供給開始を目的とした施設拡張が行われました。その結果、現在では、1日に最大130万立方メートルもの水を供給できる能力を持つ、国内屈指の大規模浄水場へと発展を遂げました。

さいたま市周辺の水道供給の中枢

さいたま市水道局（旧・埼玉県南水道企業団）や川口市水道局などは、大久保浄水場が建設される以前は地下水を水源としていましたが、浄水場完成後は、大久保浄水場からの供給を主要な水源とするようになりました。現在、大久保浄水場は、さいたま市（岩槻区を除く）、川越市、川口市、所沢市、飯能市、狭山市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、富士見市、ふじみ野市、三芳町といった広範囲の地域に、安全で安定した水道水を供給し続けています。

主要設備と処理能力

大久保浄水場は、高度な浄水技術と大規模な設備を備えています。主な設備としては、取水口、沈砂池、取水ポンプ、急速撹拌池、フロック形成池、沈殿池、急速濾過池、浄水池、送水ポンプ、中継ポンプ所などがあり、それぞれの設備が連携して効率的な浄水処理を実現しています。

水道用水の最大供給能力は1日130万立方メートル、工業用水は9.3万立方メートルに達します。送水管路の総延長は349キロメートルにも及び、広大な供給エリアをカバーしています。敷地面積は47万5920平方メートルにも及びます。

歴史と未来：進化を続ける浄水場

1964年3月の着工から、1968年4月の給水開始を経て、大久保浄水場は半世紀以上にわたって埼玉県民の生活を支えてきました。これからも、人口増加や社会情勢の変化に対応しながら、安全で安定した水供給を維持し、発展し続けることが期待されています。高度な技術と、日々の維持管理、そして関係各所の連携によって、大久保浄水場はこれからも埼玉県民の生活に不可欠な存在であり続けるでしょう。

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