大佛次郎記念館

大佛次郎記念館は、神奈川県横浜市中区山手町に位置し、作家・大佛次郎の生涯と作品を紹介する記念館です。港の見える丘公園に隣接しており、美しい景観とともに文学に触れることができる場所として親しまれています。設計は建築家・浦辺鎮太郎が手掛け、アーチ型の屋根と赤レンガの外観が特徴的な2階建ての建物です。

1978年、大佛次郎の没後、遺族から横浜市へ蔵書や愛用品が寄贈されたことを機に、記念館が建設されました。大佛次郎の作品「霧笛」や「帰郷」の舞台となった横浜の山手に建てられたことは、彼の文学世界と深く結びついています。館内には、大佛次郎が収集した文献、雑誌、執筆資料、愛用品などが展示され、彼の文学活動や人物像を多角的に知ることができます。近年では、毎年3月上旬の土曜日に大佛次郎賞受賞者による講演会も開催されています。

建築について

記念館の建築は、フランスと大佛次郎のイメージを融合させたデザインが特徴です。1階の階段ロビーには、建築の七燈をイメージした猫の装飾が施されています。これは、大佛次郎の遺品から選ばれたもので、彼の愛したものを大切に展示する姿勢がうかがえます。また、1979年には、その優れたデザインが評価され、建築業協会主催の第20回BCS賞を受賞しました。

館内施設

館内には、以下の施設があります。

ロビー: 来館者を迎える空間です。
展示室: 大佛次郎の生涯、作品、資料などを展示しています。
大佛次郎の書斎: 鎌倉の自宅から移築された書斎兼寝室が再現されています。家具、愛用品、壁の油絵など、全てが忠実に再現されており、大佛次郎が執筆活動を行っていた空間を体感できます。特注品の家具は、古いフランスの様式を参考に、チーク材に彫刻が施されたもので、大佛次郎自身も「モデルを古いフランスに学んで設計して固いチーク材に彫刻して造ってもらった」と記しています。
ギャラリー: さまざまな企画展示を開催するスペースです。
記念室: 大佛次郎の功績を称える展示室です。
サロン: 休憩や談話ができるスペースです。
閲覧室: 図書や資料を閲覧できるスペースです。

沿革

記念館の歴史は以下の通りです。

1973年10月25日: 大佛次郎の遺族より横浜市に遺品寄贈の申し出があり、受託。
1978年4月30日: 記念館の開会式を開催。
1978年5月1日: 記念館が開館。
2002年2月7日: フランス経済史研究会と研究共済事業を締結。
2013年: 開館35周年を迎える。

利用案内

開館時間: 4～9月は10:00～17:30、10～3月は10:00～17:00 (入館は閉館時間の30分前まで)
休館日: 原則として毎週月曜日（祝日の場合は翌平日）、年末年始（12月29日～1月3日）、その他、施設点検日や展示替えによる臨時休館あり。
観覧料: 大人200円、小・中学生100円、未就学児無料 (20名以上の団体割引あり)

施設

観覧施設: ロビー、展示室、ギャラリー、記念室、サロン、閲覧室
貸出施設: 会議室（20人・35m²）、和室（20人・17.5畳、水屋3畳）

アクセス

電車:
みなとみらい線「元町・中華街駅」下車、5番または6番出口から徒歩8分
JR根岸線「石川町駅」下車、元町出口から徒歩20分
バス:
神奈川中央交通バス11系統、市営バス20系統、市営バス「あかいくつ」いずれも「港の見える丘公園」下車、徒歩約2分

収蔵品

記念館には、以下のような貴重な資料が収蔵されています。

図書: 約36,000冊
雑誌: 約21,000冊
フランス第三共和制成立史資料: 約2,500冊
普仏戦争期の政治風刺画コレクション: 約2,800点
パリ史資料: 約500点
大佛次郎の自筆原稿、創作ノート、書簡、愛蔵品、愛用品

これらの資料は、大佛次郎の文学世界や歴史観を理解する上で貴重なものです。

参考文献

大佛次郎記念館リーフレット

外部リンク

大佛次郎記念館
大佛次郎研究会
公益財団法人横浜市芸術文化振興財団

大佛次郎記念館は、文学愛好家だけでなく、歴史や文化に興味のある方にとっても、魅力的な場所です。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

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