大名古屋ビルヂング

大名古屋ビルヂング：名古屋駅前のランドマーク、その歴史と変貌

大名古屋ビルヂングは、愛知県名古屋市中村区名駅三丁目にそびえ立つ、三菱地所所有のオフィスと商業施設を融合した複合ビルです。本稿では、1965年に竣工した初代ビルと、2015年に完成した2代目ビル、両者の歴史と特徴を詳細に解説します。

初代大名古屋ビルヂング（1965年～2012年）：戦後復興と名古屋の成長を象徴する存在

1965年、東海道新幹線開通直後の名古屋駅桜通口正面に初代大名古屋ビルヂングは誕生しました。特徴的な名称と存在感から、全国的に知名度を誇るビルとなりました。その知名度は、建物そのものよりも、むしろ名称による影響が大きいと言えるでしょう。

初代ビルの建設は、1959年の伊勢湾台風が契機となっています。当時、東京駅周辺のビル管理を担っていた三菱地所は、地方進出を模索していました。被災直後の名古屋を訪れた当時の社長、渡辺武次郎氏は、その惨状を目の当たりにし、地方進出の第一歩として名古屋駅前に大型ビルを建設することを決断しました。竣工式で配布されたパンフレットには、被災地の状況と、耐震不燃の超高層ビル建設への決意が綴られています。

建設は1962年から始まり、正面中央部、左側部、右側部と段階的に進められ、1965年に完成しました。屋上には、森永製菓、コカ・コーラ、三菱電機などの回転式ネオンサインが設置され、街のシンボルとして長く親しまれてきました。地下1階には飲食店街「ダイナード」があり、ユニモールやメイチカと繋がる名駅地区の地下街の一部を形成していました。また、夏季には屋上ビアガーデン「マイアミ」が営業し、多くの人々でにぎわいました。

2004年度の都道府県地価調査では、商業地の上昇率全国1位を記録するなど、名古屋の経済発展を象徴する存在でもありました。屋上ビアガーデン「マイアミ」は、長年に渡り地元の人々に親しまれましたが、建替えのため2012年9月に閉鎖されました。NHKのドキュメンタリー番組でも取り上げられ、その歴史に幕を閉じました。その後、「マイアミ」は名古屋三越栄店に移転オープンしています。

2代目大名古屋ビルヂング（2015年～）：現代に受け継がれる歴史と進化

2009年、三菱地所は初代大名古屋ビルヂングと隣接するホテルロイヤルパークイン名古屋の一体的な建替え計画を発表しました。地上34階、高さ180mの超高層ビルとして2012年に着工、2015年に竣工しました。初代ビルの閉鎖、解体工事を経て、新築工事が始まり、新しい大名古屋ビルヂングが誕生しました。

新ビルは、初代ビルの歴史を継承しつつ、現代的なデザインと機能性を備えています。初代ビルの玄関銘板やモザイク画などが再利用され、歴史の重みを感じさせます。4階には金融機関が集まる「金融サービスゾーン」が設置され、1階には三菱UFJ銀行のATMコーナーがあります。商業施設「大名古屋ビル Shops ＆ Restaurants」や「大名古屋ビル Lifestyle ＆ Services」には、多様なテナントが出店し、多くの人々でにぎわっています。

ビル低層部のファサードガラスパターンは、2020年東京オリンピックエンブレムのデザインを手掛けた野老朝雄氏によるものです。しかし、2020年には三越[[伊勢丹ホールディングス]]がイセタンハウスの閉店を発表するなど、テナントの入れ替わりも見られます。

名称の由来と歴史

ビルの名称「大名古屋ビルヂング」の「ビルヂング」表記は、英語の“Building”の発音に由来しています。三菱地所系のビルではかつてこの表記が多く用いられていました。また、「大名古屋」という名称は、伊勢湾台風からの復興と、名古屋圏全体の繁栄への願いが込められています。

入居施設

大名古屋ビルヂングには、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、あおぞら銀行、十六銀行などの金融機関、三菱グループ各社をはじめとする数多くの企業が入居しています。初代ビルの閉鎖に伴い移転したテナントも多くあります。

ダイナード：名駅地下街の進化

初代大名古屋ビルヂング地下階に位置した「ダイナード」は、名駅地区の地下街として重要な役割を担っていました。建替えに伴い一時閉鎖されましたが、2代目ビルの開業と同時にリニューアルオープンし、現在も三菱地所プロパティマネジメントが管理運営を行っています。

アクセス

大名古屋ビルヂングは、JR名古屋駅、名鉄名古屋駅、近鉄名古屋駅、地下鉄名古屋駅など、主要駅から徒歩圏内に位置し、交通アクセスが抜群です。

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