大森時生

大森時生（おおもり ときお）は、1995年生まれの日本のテレビプロデューサー、演出家です。東京都出身で、一橋大学を卒業後、2019年にテレビ東京に入社しました。彼の名は、特にフェイクドキュメンタリーの手法を用いた作品で知られています。

学生時代は就職活動に苦労したものの、テレビ業界への強い興味を持ち続け、テレビ東京に絞って応募しました。入社後は、「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」や「ありえへん∞世界」といった人気番組を担当。2年目にはチーフAD、そしてディレクターへと昇進しました。

2022年には、竹村武司氏との共同制作である「RaikenNipponHair」がテレビ東京若手映像グランプリで優勝。しかし、この作品は架空の国「ネラワリ」の番組という設定のため、通常の放送形式ではなく、テレビ東京の別番組「島崎和歌子の悩みにカンパイ」中に電波が混信し、その一部が放送されるという異例の形で世に出ました。このユニークな放送形態は、彼の企画力と実験精神を示すものとして注目を集めました。2023年には、FORBES JAPANが選ぶ「30 UNDER 30 2023」にも選出され、その才能は広く認められています。

大森氏の作品には、幼少期から影響を受けた「水曜日のダウンタウン」や「相席食堂」、「めちゃ×2イケてるッ!」、「トリビアの泉」などのバラエティ番組のエッセンスが見られます。彼は、テレビを「シンプルでわかりやすく楽しませる娯楽」と捉えつつも、「放送禁止」や「バミリオン・プレジャー・ナイト」、「ハイパーハードボイルドグルメリポート」のような、既存の枠にとらわれない「変則的な」番組にも魅力を感じていました。また、フジテレビの木月洋介氏の作品にも影響を受けており、「山田孝之の東京都北区赤羽」のように、徐々に奇妙な世界に迷い込むような演出を好んでいると語っています。

大森氏の作品の特徴は、ヴェイパーウェイヴ系のカルチャー、ホラー、フェイクドキュメンタリーといった要素を巧みに融合させている点です。特にホラーについては、単純な恐怖ではなく、「日常を侵食するような不気味さ」を追求しており、その独特な感性が作品に深みを与えています。また、影響を受けた人物として、上出遼平氏の名前を挙げています。

「RaikenNipponHair」の制作にあたっては、架空の言語というコンセプトに興味を持ち、企画書では表現しきれない独特の世界観を、若手映像グランプリの企画書を審査しないという形式を利用して実現させました。「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」では、「放送禁止」から影響を受けつつも、バラエティ番組として独自の形に落とし込むことで、差別化を図りました。

彼の主な担当番組としては、「ありえへん∞世界」のディレクターの他、「RaikenNipponHair」、「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」、「テレビ放送開始69年　このテープもってないですか？」、「SIX HACK」、「TXQ FICTION」などが挙げられます。また、テレビ番組だけでなく、「あたらしいテレビ2023」への出演や、書籍「行方不明展」の共著、Aマッソ単独公演「滑稽」の演出、映画「フィクショナル」のプロデュース、展覧会「行方不明展」のプロデュース、キタニタツヤのMV「素敵なしゅうまつを！」のプロデュース・演出など、多岐にわたるジャンルで活躍しています。さらに、対談記事「高瀬隼子×大森時生「不快な物語」の引力」も発表しています。

大森時生は、既存のテレビ番組の枠にとらわれず、独自の視点と感性で新しいエンターテイメントを創造し続ける、今後の活躍が非常に期待されるクリエイターです。

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