大樋長左衛門

十代大樋長左衛門について

十代大樋長左衛門（じゅうだい おおひ ちょうざえもん、本名・奈良年朗）は、1927年10月28日に金沢市で生まれた日本の著名な陶芸家です。大樋焼の本家として知られる彼は、2023年10月17日に95歳で逝去するまで、陶芸界での活躍を続けました。

陶芸家としての軌跡

大樋長左衛門は、1949年に旧制東京美術学校（現東京藝術大学）工芸科を卒業すると、翌年には「日展」に初入選し、以降も数々の賞を受賞します。1956年には「日展」で北斗賞を受賞し、1961年には再び特選と北斗賞を獲得しました。また、1968年には当時39歳という若さで「日展」の審査員に任命され、その後もしばしば担当しました。

彼の作品は、形式にとらわれず自由な発想で制作されています。特に彼が「大樋年朗」と名乗っていた頃は、大樋焼に留まることなく、現代的なアプローチで様々なスタイルの作品を生み出しました。1982年には「文部大臣賞」を受賞し、その後も国際的な展覧会に招待されるなど、積極的に活動しました。

名跡の継承と新たな歩み

2016年には、名跡「長左衛門」を長男の大樋年雄に譲り、自身は「大樋陶冶斎」と名乗ることとなります。この名を持つことで、彼の独自の陶芸スタイルを引き継ぎながら、新たな角度から陶芸に取り組む決意を示しました。彼の作品は、伝統を尊重しつつも、個々の作家性を大事にする姿勢が特徴的です。

主な受賞歴と功績

長左衛門は、文化勲章を受章するなど、日本の陶芸界に多大な影響を与えました。彼が手がけた作品は、全国の美術館や大学に所蔵されており、国内外の展覧会にも多数出品されました。また、1985年には日本芸術院賞を受賞するなど、その偉業は高く評価されています。

書籍と教育活動

長左衛門は陶芸に関する著書も多数執筆しており、その中には『楽焼の技法』や『大樋長左衛門の陶芸』などがあり、技術や思想について幅広く伝えています。また、金沢大学の教授や金沢学院大学の学部長として、若手陶芸家の育成にも尽力しました。

最後の歳月

2023年に脳出血により逝去した際、日本の陶芸界は彼の死を悼みました。その功績により、死後には従三位に叙されたことも彼の影響力の高さを物語っています。彼の作品や理念は、今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

まとめ

十代大樋長左衛門は、陶芸家としての人生を通じて、日本の伝統工芸に新たな価値を付加し続けた人物でした。自由な発想と確かな技術をもとに、彼は数々の名作を世に送り出し、後世に影響を与えました。彼の業績は、日本の陶芸界の重要な一頁として、今後も語り継がれていくことでしょう。

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